＜スカイマーク＞全額出資も視野…支援ファンド代表

　民事再生手続き中のスカイマークとスポンサー契約を結んだ投資ファンド、インテグラルの佐山展生（のぶお）代表が毎日新聞とのインタビューに応じ、「航空会社からの支援は必ずしも必要ではない」との考えを示した。また「出資比率が１００％になっても構わない」と述べ、スカイマークに他社の資本を入れず、全額出資を視野に入れていることを明らかにした。
　
　　インテグラルはスカイマークに９０億円を融資し、当面の資金繰りを支援している。東京地裁による再生計画の認可後に、スカイマーク向けの債権を株式化し、経営権を握る予定だ。
　
　　佐山代表は融資額について、「他社からの出資が必要ならば、９０億円も出さない」と述べ、現時点で他社からの出資は不可欠ではないとの考えを示した。また、長期にわたり株式を保有する方針を示し、再生後に売却する場合も「スカイマーク社員が納得する先に売却する」との考えを示した。
　
　　スカイマーク再建の方向性について「（今までのやり方を）根本的に全部変える。安全、整備、安定運航を大事にしたい」と述べ、今後、整備の人員を増強する方針を明らかにし、「安いけれどサービスもいい、そんな会社を目指したい」と語った。また、地方路線の運航見直しについては、地方自治体や空港側と協議をしながら撤退などを判断する考えを明らかにした。
　
　　スカイマークの支援を巡っては、ＡＮＡホールディングスやエアアジアなどの航空会社のほか、大手旅行会社エイチ・アイ・エス（ＨＩＳ）など２０社程度が支援を表明している。この中から「スカイマークにプラスになる提案を選ぶ」（佐山代表）方針。このうち航空会社は３月中旬、それ以外の事業会社は同下旬までに選定する予定だ。りそなホールディングス（ＨＤ）は２７日、一時は３兆円超にのぼった公的資金を今夏に完済すると正式発表した。業績が堅調に推移しているため、２０１８年３月末としていた完済時期を大幅に前倒しする。経営悪化を受けた０３年の実質国有化から１２年を経て、国の影響下から完全に脱することになる。
　
　　りそなＨＤの公的資金の残額は１２８０億円まで減っており、６月の株主総会での承認後、全額を返す。これまでは１８年３月末まで毎年３２０億円ずつ返済する計画だったが、１５年３月期は１９００億円の最終（当期）利益を見込むなど業績が堅調で、返済の原資となる利益剰余金も１兆円を超えていることから、一度に返済しても自己資本が十分確保できると判断した。
　
　　東京都内で２７日に記者会見した東和浩社長は「１２年の長きにわたり、国民の皆様や取引先、株主のご協力をいただき、心からお礼申し上げる」と述べた。
　
　　公的資金完済後の新たな中期経営計画も発表。「リテール（小口金融）ナンバーワン」を掲げ、強みである個人や中小企業向けの取引をさらに強化してメガバンクとの違いを打ち出す方針を表明した。りそなＨＤが取り扱う相続関連の分野などで地域金融機関との提携を拡大するほか、３６５日営業する店舗も増やす。
　
　　りそなＨＤは、公的資金完済後も国に代わる安定的な株主を確保するため、第一生命保険、日本生命保険にりそなＨＤ保有の自社株式計８６５億円を買い取ってもらうことも正式発表した。第一生命は５．４９％の筆頭株主に、日本生命は２．８６％の大株主になる。
　
　　りそなＨＤは０３年、巨額の不良債権を抱えて経営が悪化し、国から公的資金投入を受けて実質国有化された。公的資金はピーク時に３兆１２８０億円に上ったが、従業員の給与削減などを進める一方、リテール分野に経営資源を集中させるなど経営改革を断行。０５年３月期に黒字経営に転換し、公的資金を段階的に返済してきた。昨年７月には１９６０億円分を返済し、国の議決権が消滅していた。
　
　　金融業界では１９９０年代後半、バブル経済崩壊に伴う不良債権問題が深刻化し、大手都市銀行や証券会社が相次いで経営破綻した。金融危機の拡大を止めるため、国は金融機関に総額１２兆円超の公的資金を投入した。りそなの完済後は、公的資金の残る大手行はあおぞら銀行と新生銀行の２行となる。【鈴木一也】