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<米州会議>オバマ氏とカストロ氏会談は? 絡み合う思惑

<米州会議>オバマ氏とカストロ氏会談は? 絡み合う思惑

【パナマ市・朴鐘珠、ワシントン和田浩明】10日にパナマで開幕する米州首脳会議で、オバマ米大統領とキューバのカストロ国家評議会議長が会談する可能性が現実味を帯びてきた。中南米諸国に対する影響力を取り戻そうとする米国は、キューバとの国交正常化の進展を米州首脳会議の場でアピールしたい思惑がある。一方、キューバは米国の焦りを利用して譲歩を引き出す構えだ。

【米・キューバ首脳会談実現焦点 オバマ氏、中南米との融和図る】

 米国は会議開幕までに国交回復を象徴する大使館再開にこぎ着けようとしたが、キューバは再開の条件としてテロ支援国家指定の解除を突きつけた。米側は二つの問題を切り離し、大使館再開を優先するよう求めたが、開幕前日にキューバ側の条件をのむ決断をし、交渉の第1ラウンドはキューバに花を持たせる形をとった。

 「過去にとらわれたくない。新しいことを試すべきだ」。オバマ大統領は9日、訪問先のジャマイカで発言し、正常化協議を加速したい意図をにじませた。国務省も同日夜に突如ケリー国務長官とロドリゲス・キューバ外相の会談を発表。詳細は伏せつつ「前進」を強調、短文投稿サイト「ツイッター」で両外相が握手する写真も発信し、関係改善の進展を演出した。

 2期目の残り任期2年を切ったオバマ氏は、歴代の米大統領と同様、外交分野での大きな成果を目指しているとされる。キューバとの国交再開は、最終合意に向けた交渉が続くイラン核問題同様、解決すれば歴史に名を残しうる実績となる。

 キューバが今回初参加する米州首脳会議が開催されるのは3~4年に1度。オバマ氏とラウル・カストロ国家評議会議長の任期はそれぞれ2017年1月と18年2月までで、同会議でオバマ氏とカストロ氏が接触できる機会は最後になるとみられる。米国の中南米における影響力は、1990年代後半から反米左派政権が相次ぎ誕生したことで急速に低下し、中国が影響力を拡大している。米国は反米左派政権の精神的支柱となっているキューバとの関係改善をきっかけに、同地域での覇権を取り戻そうともくろむ。

 一方、キューバ側にも思惑はある。キューバが首脳会議への参加を表明したのは、米キューバの国交正常化方針が発表された昨年12月17日の5日前。カストロ議長は、パナマが歴史的な米キューバ首脳会談の場になりうると想定し、国交正常化アピールを焦る米国から最大限の譲歩を引き出す足掛かりにしたかったとみられる。

 キューバの目標は、米国が要求する民主化要求をできる限りはねのけながら、実利を得ること。国交正常化交渉で懸案となっている議題について、米州首脳会議という多国間会議の場を借りることで、米国に圧力をかけることを狙うとみられる。

 キューバは国連総会で米国の対キューバ経済制裁の解除を求める決議の提案を繰り返し、92年以来23年連続で採択されている。決議に反対するのは米国と同盟国イスラエルだけという異様さで、制裁の不当性を広く国際社会に訴える効果があった。米国が要求する政治的民主化と人権擁護について、キューバは内政干渉と反発している。同様の問題を抱えるベネズエラやボリビアの首脳がそろう米州首脳会議では米国批判が噴き出すとみられ、キューバに追い風となりそうだ。

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