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建築材乾燥に薪ボイラー 高山の工務店、導入へ
建築用材を人工的に乾燥させる際、木にやさしい「低温乾燥」を用いてきた高山市江名子町の井上工務店(井上正博社長)が、熱源を灯油ボイラーから薪(まき)ボイラーに転換する実証実験に取り組み、「地域資源の活用やコスト低減が達成できた」として、本格導入することになった。林業関係者の関心も高く、木質バイオマス活用が広がりそうだ。(千田龍彦)
木材を建材として使うには、割れや反りなどの狂いが生じないよう十分に乾燥させる必要がある。木にとっては天然乾燥がいいものの、時間がかかるため、強制乾燥炉で熱風を吹き付けるなどして短時間に含水率を15~10%まで下げる方法も、広く導入されている。
これに対し、同社では、コンテナを改造し、温水の流れるパイプを巡らせた乾燥炉を導入。木材を露天に1年間積み上げて天然乾燥したうえで、この炉で乾燥させる。炉内温度は約36度と通常の乾燥炉の半分以下のため、10日ほどかかるが、「人肌に近い低温乾燥は施設も安上がりなうえ、木材の持つツヤや香りを引き出すことができ、柱や板材としても付加価値がつく」という。
今回はNPO法人・地域再生機構(岐阜市)と提携し、環境省の補助事業を活用。温水の熱源をリースの小型薪ボイラーに切り替えて、化石燃料(灯油)の削減量や24時間運用の可否、発生熱量などを調べた。
その結果、薪を投入する人手のない夜間でも、蓄熱タンクを使うことで朝まで必要な温度を確保できた。燃料の薪は伐採から製材、建築までに出る端材や廃材の活用で十分にまかなえた。この成果を踏まえ、同社企画研究室の井上博成さんは、「乾燥度や品質も期待通り。薪ボイラーを購入し、本格導入に踏み切る」と話している。
実証実験を担当した地域再生機構の森大顕(ひろあき)理事は、「薪ボイラーの有用性が証明された。木材資源を無駄なく使うことで、二酸化炭素削減やコスト低減にもつながり、林業を支えてきた地域の中小の製材工場が生き残るモデルにもなる」としている。