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由良川夏みかん 復活へ
◇酸味見直し特産に 舞鶴の村上さんら
舞鶴、宮津両市の由良川河口で、地元住民らが夏みかんの栽培を始めた。酸っぱい味のため、敬遠されていたが、2年前につくったジュースが好評だったことで、その良さを再確認。昨年は、京菓子や京料理の老舗にも販売しており、住民らは「需要はいくらでもある。地域発展の新たな特産品にしたい」と意気込んでいる。(中井将一郎)
栽培しているのは、舞鶴市の木製玩具店経営、村上貴是(たかし)さん(67)と、その友人ら。舞鶴市西神崎、東神崎、宮津市由良の3地区は古くから柑橘(かんきつ)の産地で、かつては夏みかんも果樹園などで植えられていたという。だが、甘い柑橘が広まると、夏みかんの木は伐採されたり、植え替えられたりされ、現在では、古木を中心に73本しか残っていない。
村上さんは2年前、外出先で度々、目にした夏みかんの落果を「もったいない」と感じ、活用法を模索。実を搾ってサイダー割りにしたジュースを知人に飲んでもらったところ、「さっぱりしておいしい」と好評だったという。そこで、所有者の了解を得て、舞鶴市内で夏みかんを収穫。市内の保育園などで500個ほどが売れたという。
昨年は本格的に売り出そうと、友人ら約20人と「舞鶴夏みかんの会」を結成。ブランド名を「京夏みかん」とし、チューハイ用に同市内の居酒屋、夏みかんを食材に使っている京都市内の老舗料亭などに売り込むと、注文が相次ぎ、計4400個を販売した。
手応えを感じた同会は、昨年の売り上げで、山口県萩市の原種から分けられた苗木約100本を購入。3地区の農家など約40戸に頼み、今月23日から耕作放棄地や空き地に苗木を植樹している。
宮津市由良の小室仲次さん(82)宅には約10本の古木があったが、40年ほど前に大半を伐採。残った1本も放置してきたが、村上さんの勧めで、昨年は200個を出荷した。「まさか、こんなに酸っぱいみかんが売れるとは。もっとたくさん出荷したい」と、畑に苗木1本を植えた。
京菓子の老舗「老松」(上京区)は昨年、夏みかんの実をくりぬいて中に寒天で固めた果汁を詰め込む「夏柑糖(なつかんとう)」の材料として同会から約1000個の夏みかんを購入。普段は萩市の契約農家などから仕入れているが、植村健士・副店主(42)は「今、純粋種の夏みかんはほとんどなく、確保に苦労してきた。生産が増えれば品質のいい産地になる」と期待する。
村上さんは「夏みかんは、次の世代に引き継ぐべき名産品だと思う。息長く育てていきたい」と力を込めた。
◇
同会は、枝切りや出荷などを手伝うボランティアを募集している。問い合わせは、村上さん(090・6917・0529)。
◆夏みかん 柑橘の一種で、江戸時代に山口県の日本海沿岸に伝わったとされる。明治維新で困窮した萩の士族が本格的に栽培を始め、明治前期に各地に広まった。由良川河口は水はけのいい砂地で、栽培に適しており、この時代に盛んだった北前船で伝わったとみられる。1970年代、グレープフルーツの輸入自由化や、多様な品種の柑橘類の開発により、全国的に姿を消したという。