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人気ラジオ番組MCジェーン・スーさんから学ぶ、「誰からも信頼される人」になる方法

人気ラジオ番組MCジェーン・スーさんから学ぶ、「誰からも信頼される人」になる方法

 

「ジェーン・スー 相談は踊る」公式サイトより
 毎週土曜夜、Twitter上を賑わせる人気ラジオ番組「ジェーン・スー 相談は踊る」(TBSラジオ)。この4月で放送開始から一周年を迎え、3月には番組を書籍化した『ジェーン・スー 相談は踊る』(TBSラジオ「相談は踊る」編/ポプラ社)が発売されました。

 ますます勢いにのる同番組でMCを務めるのは、作詞家/コラムニストのジェーン・スーさん。日々悩める老若男女の相談に丁寧に寄り添い、ときには活を入れるスーさんに「相談のお作法」についてお話を伺いました。

■番組裏話を聞いた!  ライブ感が大事だから相談はすべて一発勝負

 ――番組が放送開始から丸一年を迎えた今、どんな心境ですか? 

 ジェーン・スーさん:早かったなぁ、というのが正直なところです。体感的にはまだ半年くらいしか経っていない印象です。最初は相談と音楽だけで2時間もつのか不安でしたが、意外といけました(笑)。初期の頃と比べて、番組宛にいただく相談の件数も増えていますし、相談内容もバラエティに富むようになりましたね。

 ――相談が採用される倍率はどれくらいなのでしょうか?  実は私、以前一度採用されたことがあるんです(件の相談内容を伝える)。

 ジェーン・スーさん:あっ、あの相談の……!  お送りいただき、ありがとうございました。けっこう「わかるわかる」「うちもそう」といった反響が来ていましたよ。採用する相談は多めに紹介できる日で7件ほどですね。毎週100件を超える相談をいただいているので、採用される確率は数%程度かもしれません。

 ――番組で紹介される相談には、事前に目を通していらっしゃるのか気になっていました。スーさんも代行MCさんもどんな相談にも詰まることなく、すばやく適切な回答をされている印象があるので。

 ジェーン・スーさん:私と代行MCでの打ち合わせはありますが、相談内容を事前に確認して、どう答えるか考える時間はふたりともないですね。プロデューサーや放送作家の方が選んだ相談を毎回生で見て答えています。

 「どんな相談にも詰まることなく……」というような印象をリスナーに与えている自覚はないんです。むしろ適当なことを言ってないだろうか、と心配になることがあります。

ジェーン・スーさん
 ――いちリスナーとしては「スーさんはどんな相談にも答えてくださりそう」な印象があります。だから「くだらない相談だけど送ってみよう! 」と思えるのかなと。やはり番組としては、生放送ゆえのライブ感を大事にしているのでしょうか? 

 ジェーン・スーさん:そもそも友達の相談に乗るとき、事前にその内容を聞くことはないですよね。聞いたその場で対応するのが普通だと思います。それを考えると、私が番組でしていることは、誰でも普段からしていることで、特別なことではないとも思うんです。日常会話に近いのかなと。

 代行MCやリスナーの存在も大きいですね。私がひとりでじっくり練った回答をするわけではなく、私や代行MCが手も足も出ない相談に対し、リスナーがその道のプロとして回答してくれることもありますから。

 ――番組本も大好評だと聞きます。書籍化されるにあたり、掲載する相談をどのように選ばれたのでしょうか? 

 ジェーン・スーさん:本に掲載した33本は厳選に厳選を重ねた相談ばかりです。スタッフ同士で印象に残った相談を出し合って決めました。深刻なものやライトなものなどジャンルが偏るとよくないので、何度も抜き差しして調整しましたね。また、ラジオで音声として聴くのと文字起こしをした文章を読むのとでは、印象がだいぶ違うので選ぶのは本当に大変な作業でした。

 読んでいただくと、ひとつくらいはご自身に重なる相談があるのではないかと思います。ラジオを聴く習慣がない方でも楽しめるような仕掛けをしたつもりです。リスナー以外の方にも手に取っていただきたいですね。

『ジェーン・スー 相談は踊る』
■信頼される相談者になるには?  「聞く→問う→意見する」の順番を守ろう

 ――ここからは「相談力」について伺っていきたいと思います。まず「相談される側」としてはどのようなことを心がけておくべきでしょうか? 

 ジェーン・スーさん:私自身の話をすると、若い頃は相談内容を聞いた瞬間に、否定したり断定したりしていました(笑)。これはよくないです。でも、歳を重ねるにつれて、まずは相手の話を一生懸命聞くことで、悩みの半分は解決しているのではないかと感じるようになりました。

 相談する側は「誰かに話したい」と強く思っているので、それを聞くことが一番大事なのかなと。ムリに共感する必要はありません。「ボールを受け取ってみる」イメージでしょうか。(1)じっくり話を聞く、(2)それを受けて質問する、(3)自分の意見を言う、といった順序を踏むのがいいと思います。

 また、相談される側は「~してあげる」という気持ちはなくすこと。専門的な内容ではない限り、相談される側・する側に主従関係や上下関係ができるのは違うなと思うんです。いい答えを出してあげよう、一目置かれよう、頼りにされようなどとは期待せず、パワーバランスを作らないことも大切ですよね。

 ――よく相談内容としてあがるものといえば「恋愛」。中には「それ、ほとんど勝ち目はないでしょう? 」とツッコミたくなるような相談をされることがあります。そんなときはどうすれば……? 

 ジェーン・スーさん:先日番組でも話しましたが、うちのリスナーにはなぜか「告白したがる人」が多いです(笑)。結果はどうであれ、自分の気が済むよう思いを伝えたいだけなのか、それとも相手と両想いになって付き合いたいのか、まずは冷静になって考えてと私は答えています。

 にっちもさっちもいかないからといって、自分の思いをぶちまけたところで、相手がこちらの好意に気づいてない可能性もあるわけです。そんな人から突然告白されても、相手がOKをくれる確率は限りなく低いですよね。

 たとえば、同じ相手に対して何度も告白するのはドラマにはなりますし、している側は気持ちがいいでしょうが、される側は迷惑だと思うんです。恋愛中は冷静さが失われて、視野狭窄になりがちなので「まずは冷静になってみて」と伝えるのがいいかもしれません。

 ――軽々しく言葉を返せないような、深刻な相談を打ち明けられることもあります。そんなときはどうすればいいのでしょうか? 

 ジェーン・スーさん:番組にも病気の話や旦那さまが川に飛び込んだ話など、深刻な相談が寄せられます。答え方は難しいですし、未だに「あの回答で正解だったかな? 」と自信を持てないことも。でも、深刻な悩みを抱えている人ほど、まずは誰かに打ち明けたいという気持ちが強いです。そんなときに相談を受ける側が迷いなくできる唯一のことは、真摯に相談を受け止めることなんですよね。

 まずは受け止めた上で、聞く。一言「大変だったね」と言われるだけでも、気持ちが楽になることは私自身も経験しています。よく犯しがちなミスは、相談を聞いてすぐに励ますことですが、簡単に励ますべきではありません。いくら励まされても、頑張れる体力や気力が残っていない人はたくさんいますから。

■相談する側は「正直に話す」のがマナー! 

 ――ちなみに、スーさんご自身はプライベートでもよく相談を受けますか? 

 ジェーン・スーさん:「実は相談があって」という改まった感じではないですが、自然な会話の流れで「今こんなことに悩んでいて」と打ち明けられることは多いですね。でも、中には「アイツに話すとキツいことを言われそうだから」と話してくれない友達もいそうです(笑)。

 ――鋭いことをズバッと言われそうなイメージがあるのでしょうか(笑)。ではスーさんが悩みを打ち明けたいときは、どんな人を相談相手に選びますか? 

 ジェーン・スーさん:基本的には長い付き合いの友達やパートナーで、否定をしない人ですね。相談する内容にもよりますが、まずは受け止めてほしいと思うので。ただ、自分が求める答えによって、無意識のうちに相手を選んでいるような気もします。たとえば、どうしたらいいかわからなくてモヤモヤしているときは、ズバッと言ってくれる人を自然と選んでいるのかなぁと。

 ――「相談する側」の立場にいるとき、意識していることはありますか? 

 ジェーン・スーさん:できるだけ正直に話すことですね。もちろん「すべて正直に話してもいい」と思えるような、信頼できる相手に話すことが大前提です。人は自分に都合の悪いことを話そうとしません。とくに知っている相手に対しては、自分をよく見せようと思うせいか、明らかにしたくない情報を伏せたまま話を進めてしまうんです。

 でも「この人、何か隠しているな」とすぐにバレますし、相手が隠していることについて触れるべきかスルーすべきか、相談される側に迷いを与えることにもなります。

 また、それほど関係性が深くはない相手に対しても、相談をぶっちゃける人がいますが「そんなに深いことを打ち明けて大丈夫なの? 」と見ているこちらが心配になります(笑)。相談する相手は「信頼できる人」に限定することをおすすめします。

 ――最後に恋愛・結婚に悩む読者にメッセージをお願いします。

 ジェーン・スーさん:「私はこういう人間だから~」というのは決めないほうがいいと思います。たとえば結婚というトピックに関して言うと「私は結婚しない人だから」「結婚する予定はないから」と現時点で決める必要はないと思うんです。ガッチリ決めてしまうことで心が苦しくなることもありますから。もしお悩みがあれば「ジェーン・スー 相談は踊る」にお気軽にご連絡くださいね! 

 ジェーン・スー
作詞家/コラムニスト/ラジオパーソナリティー。「ジェーン・スー 相談は踊る」(TBSラジオ/土曜19時~)「シケ金」(ソラトニワFM/金曜20時~)などの番組を持つ。『CREA』『ゴーゴーバンチ』『BIRD』などで連載中。著書に『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』がある。

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