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東京から一時間の田舎暮らし! 「湘南番外地スローライフ」 (4) 春の野山へ繰り出して、山菜狩りを楽しむ

東京から一時間の田舎暮らし! 「湘南番外地スローライフ」 (4) 春の野山へ繰り出して、山菜狩りを楽しむ GWの恒例イベントとは

 4月はツクシやカンゾウの新芽を摘んだり、タケノコを掘ったりと、仕事の合間に地元の野山を歩いて、例年と同じように春の恵みを堪能した。タケノコといえば、平塚市の山中にある友人の実家では、さあそろそろ掘るぞ、というタイミングで広大な竹林に泥棒が入り、100本以上のタケノコをすべて盗まれてしまったそうだ。

 2年連続のことだったので、さすがに警察に被害届を出したそうだが、その友人は「だからといって来年からタケノコが生える時期に竹林をパトロールしてくれるわけではないだろうしなあ」と嘆いていた。ちなみに泥棒たちのタケノコの堀り方たるや、それはもうプロの技としか言いようがないほど見事なものらしい。

 さて、そんな4月のある日、「今年もまたゴールデンウイークに例のアレ行きますか?」と大磯に住むKさんからメールが届いた。むむむ、そうか。今年もいよいよ、例のアレが近づいてきたのか。

 例のアレ。それは、ゴールデンウイークに番外地から車で1時間ほどのところにあるヒミツの場所で、わらび狩りを楽しむという仲間内のイベント。第1回目が行われた去年、大自然の中で気持ち良いひとときを過ごすことができた上に、わらびも驚くほどたっぷり採れたので、我が家は全員すっかりわらび狩りフリークになってしまった。

 野焼きをした後の草原にニョキニョキと顔を出すわらび

 それゆえ、あらためて家族に相談する必要もなかった。Kさんに、すかさず返事を送信する。「もちろん行きましょう!」と。

今年も抱えきれないほど収穫

 ぼくらは去年がはじめてだったが、Kさんは、盟友Yさんと共に、昔からそのヒミツの場所でわらび狩りをしていたらしい。

 箱根の仙石原で育った二人 は、まさに山菜やキノコの達人。前回も、わらびがたくさん生えていそうな場所を的確に案内してくれ、わらび以外の山菜を次々に見つけて、その特徴や食べ方を教えてくれた。ぼくら”わらび狩り隊”メンバーの間で、この二人は頼りになる”隊長”のような存在だ。

 そのメンバー、昨年は参加者8名だったが、今年はまわりのいろいろな人に「わらび狩りは楽しいですよ~」と声をかけた結果、総勢17名にもなった。ちょっとしたツアーのようだ。この調子で増えていったら、そのうちマイクロバスをチャーターすることになるかもしれない。

 晴天に恵まれたゴールデンウイークのある朝、渋滞にも巻き込まれずに、現地へ無事到着。車5台が列を成して田舎道を疾走する風景は、まさに”わらび狩り隊”という雰囲気ムンムンだった。

 わらびの多くは鮮やかな緑色だが、実は茶色いものが最もおいしいとか

 長靴と軍手姿に変身して、午前10時過ぎからスタートしたわらび狩りは、午後3時半まで続いた。途中、青空の下で持ってきたお弁当を広げてワイワイ賑やかに過ごす昼ご飯も、わらび狩りの楽しみのひとつだ。何と今回はYさんが、とれたての鹿肉で作ったというカルパッチョをわざわざ持ってきてくれて、みんなにご馳走してくれた。やわらかくて滋味深い鹿肉に、一同うっとり。わらび狩りとジビエ(野禽獣)料理という組み合わせが何とも素晴らしい。さすが隊長殿、ごっつぁんです。 

 わらび狩りは、ほかの野草が何となくボヤけて、わらびだけがハッキリ見えるような”わらび目”になってしまえば、こっちのもの。これはタケノコやほかの山菜を探すときも同じことだ。去年はそのコツをつかむまで時間がかかっていたけど、今回は2度目なので、すぐに”わらび目”モードに入ることができた。

 親子3世代5名で参加した我が家は、6つの大きなビニール袋にぎっしり、わらびを収穫。もちろん5歳の娘も貴重な戦力だ。目線が低い分、大人よりもわらびがよく見えるので、働いてもらわない手はない。

 

 見た目も味もアスパラガスそっくりで、ぼくらが”山アスパラ”と読んでいる山菜やウド、野ブキ、クルクル巻いた葉っぱが特徴的なウルイなども摘むことができた。お団子を作るべく、ヨモギの新芽を採っている参加者もいた。ああ今年も大満足なり。

 ウルイの別名はギボシ。サッと茹でてからマヨネーズで

 少しだけ摘んだ野ブキは、佃煮にしてご飯のおかずに

わらび料理は翌日のお楽しみ

 収穫したわらびを家に持ち帰って天ぷらや煮物にし、その夜は大宴会となった。と、書きたいところだが、残念ながらそうはいかないのが、わらびという山菜。食べるためにはまずアクを抜く必要があり、つまりは一晩じっと待たなければならない。

 その方法は地方によって料理人によってさまざまらしいが、我が家ではKさんから教えてもらったやり方でアク抜きをしている。わらびを大きめの鍋やボウルなどに入れて、重曹を適量ふりかけてから、わらびがしっかり浸るくらいまで沸騰したお湯をそそぐ。そして、フタや皿などをかぶせて一晩置き、翌朝になったら、水を2、3度変えてさらせば出来上がりだ。

 家中のナベをフル活用して、わらびのアク抜きを行う

 これをそのまま切って、鰹節と醤油をかければ、おひたしに。独特のヌメリとシャキシャキした食感、ほのかな山の香りが、わらびの魅力だ。酢の物にするもよし、わらびご飯を炊くもよし、油揚げなどと甘辛く煮てもおいしい。

 今年はたくさん採れたので、一部のわらびをヒモでくくって天日干しにもしてみた。わずか1日で、わらびは元の姿が想像できないほど小さくカラカラに乾燥。これをお湯で戻して料理に使うわけだが、生わらびとは違ったおいしさが楽しめるらしいので、もし成功したら、来年はもっとたくさん干してみよう。

 干しわらびはご覧のとおり、カラカラのドライフラワー状態

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上原健二
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