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マツタケ不正輸入「総連トップ」異例の家宅捜索は公安の復讐!?
京都府警が3月26日に摘発した、北朝鮮産マツタケの不正輸入(外為法違反)事件。京都府警などの合同捜査本部は東京都台東区内の貿易会社社長と社員の2人を逮捕し、関係先として在日本朝鮮人総連合会(総連)の許宗萬議長の自宅などを家宅捜索した。総連トップにまで捜査の手が伸びるのは異例の事だ。目下のところ、逮捕者は民間商社の2人にとどまっているが、今後の焦点は総連のトップにまで捜査の手が伸びるかどうかだという。
「警察の捜査対象の中には、総連トップである許宗萬議長の親族の勤務先が含まれています。警察はもしかしたら、総連本部問題の『雪辱』をねらっているのかもしれません」(大手紙社会部記者)
旧朝銀信組の不良債権問題と絡み、東京都千代田区にある本部会館が競売にかけられたことで、一時は立ち退きを迫られそうになっていた総連だが、物件を購入した不動産業者との賃貸契約を経て継続使用の権利を守っている。
「物件の転売と賃貸契約には、総連のダミーと見られる会社が複数、登場しています。警察の公安部などは、それらがいずれも許氏の実質的な支配下にあると見ているのです」(同)
今年に入って許氏の権力が復活し、当局が警戒した?
北朝鮮ウォッチャーによれば、そんな許氏も一時は北朝鮮本国から干されていたという。
「日本政府の対北制裁により北朝鮮に渡航できなかった許氏は2014年9月、約8年ぶりに平壌を訪れました。ところが、1カ月以上にわたる滞在期間中、金正恩第1書記に一度も面会してもらえなかったのです。高齢の許氏と親しかった北朝鮮幹部がことごとく鬼籍に入り、若年の正恩氏との架け橋がいなくなってしまったようです」
ところが、もはや立ち退きは避けられないと見られていた本部会館への“居座り”が可能になったことで、許氏の立場は一転して強力なものになったという。朝鮮労働党機関紙『労働新聞』が異例に大きな扱いで許氏に対する称賛記事を掲載するなど、まさに手のひらを返したように“英雄扱い”を始めたのだ。2014年までは組織内でも元気のなかった許氏は再び権力を強めているという。今後は日朝交渉にも色々と口をはさむようになるかもしれない」(前出の北朝鮮ウォッチャー)
実際、2014年の日朝交渉の中では総連の本部会館問題をめぐり、両国間で綱引きが演じられた場面もあった。
「警察は本部会館問題で許氏に煙に巻かれ、メンツをつぶされています。その上、政府間交渉にまで口を出されるようになってはたまらない。今回のマツタケ不正輸入の事件化と総連関係先への捜索は、本部会館問題への意趣返しであるとともに、許氏の機先を制する目的があるのかもしれない」
だとすれば、総連vs警察の次なるラウンドは、いつ、どんな形で弾けるのだろうか。
(取材・文/承山京一)