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同性カップル、老後に不安 渋谷区条例「議論の契機に」
同性カップルを「結婚に準じる関係」と認める全国初の制度として注目を集める渋谷区の「パートナーシップ証明」。彼・彼女たちの権利を守る役割が期待されている。そもそも同性カップルたちは普段の生活で、どんな場面で困っているのだろうか。
【写真】同性カップルが直面する困難と対処法をまとめたLetibee社のリーフレット
区は、同性カップルが直面する困難の代表例として2例を挙げた。(1)パートナーが重病で入院した際、「家族ではない」と病院から面会を断られる(2)家を探す時、同性カップルの同居とわかると、偏見から大家や不動産業者から契約を断られる。
ほかには何があるのか。
性的少数者向けの事業を手がけるLetibee社(レティビー、新宿区)は、相談に訪れた同性カップルに、直面する困難と、その対処法をまとめたリーフレットを渡している。
困難として挙げられるのは、お金や住宅など7分野12項目。区が挙げた2例に加え、法律上は他人なので自分の死後、パートナーへの遺産相続ができない▽パートナーを生命保険の受取人に指定できない――など。2人の関係が法制度に守られないというデメリットを示す。
対処法は、(1)養子縁組(2)遺言の作成(3)パートナーシップ契約の公正証書の作成(4)任意後見契約。いずれも法律で定められた制度だ。以前から同性愛者たちの間で「自衛手段」として利用されてきた。
区が発行する「パートナーシップ証明書」には、法的拘束力がない。法律上の夫婦にはなれないため、税金の配偶者控除などは、変わらず受けられない。住宅ローンや生命保険を2人で利用できるかは、民間企業が認めた場合に限られる。
証明書は、例えば、不動産業者が賃貸住宅の契約を渋った時、「区が認めた関係ですよ」とカップルの後ろ盾になるといった効果が期待されている。
海外では、法律上も夫婦と同等になれる「パートナーシップ制度」を導入する国が20カ国以上ある。Letibee社の外山雄太・共同代表(24)は「まだ法律の整備にまで至らないのは、今の日本の限界かもしれない。渋谷を契機に議論が進んでほしい」と語る。
同社は昨年10~12月、インターネット上で性的少数者300人を対象に、「あったら利用したいサービス」について意見を聞いた。「多少値段が高くても利用したいサービス」(複数回答)の回答から、当事者たちが抱える困難が読み取れる。
最も多かった回答は「老後支援」。172人と突出している。結婚式(124人)を除くと、ファイナンシャルプランニング(120人)、住宅サービス(113人)など、生活の安定を求めるものが多い。