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海外での臓器移植 “手付金”高騰に「なぜ」の声〈週刊朝日〉
改正臓器移植法が施行されて、今年7月で5年を迎える。2014年までに脳死下で臓器を提供したドナーの数は215人。改正によって臓器移植の可能性は広がったが、それでもハードルは高い。
そうしたなかで渡航移植に希望を託す人もいる。日本心臓移植研究会によると13年12月末までにアメリカやドイツなどで移植を受けたのは156人。だが道のりは平坦ではない。東京女子医科大学重症心不全制御学の布田伸一医師は「年々渡航移植費用が高くなっている」と言う。
「アメリカでは日本の保険制度は発揮できず、重症度などから予想された治療費を手付金として先払いするシステム。この金額が高騰しています」
だがその理由はわからず、布田医師も「海外の移植医も医療費に関してはアンタッチャブル。病院経営者側の判断ではないか」と首をひねる。
渡航移植には手付金に加え、滞在費用や専用機を利用した場合にはそのチャーター費用なども必要だ。現在は1億円以上とされ、「救う会」などによる募金活動で賄うのが一般的だが、目標金額が集まる前に他界してしまったり、募金活動で実名を公表するのをためらい渡航を断念したりするケースもある。
さらに08年に国際移植学会で、移植が必要な患者の命は自国で救う努力をするという「イスタンブール宣言」が出された。安易な移植ツーリズムを牽制するものだったが、ドイツなどヨーロッパ諸国は海外からの移植希望者をほとんど受け入れなくなった。
このように日本で移植医療がなかなか広がらない状況に加え、一般の人たちの理解不足も深刻と言わざるを得ない。今年1月、重い心臓病をわずらい4歳で脳死状態となった娘の臓器を提供した中島圭一さん(仮名・34歳)が明かす。
「私自身、当事者になるまで、臓器移植は『あいまいな検査のなかで臓器を取り出すのではないか』という少し隠されたネガティブな印象がありました」
重い心臓病をわずらって移植待機者となった娘を救いたい一心だった。渡米して移植を受ける準備が整いかけたとき、娘は脳死状態に陥った。まだ元気な臓器を、自分たちと同じ苦しみのなかにいる人たちに生かしてほしい――。そう思えたのは、わずか3カ月ほどだったが移植医療の現場に身を置いたためだ。
「先生方は娘をとても尊重して真摯に対応してくれましたし、脳死判定などの検査結果にも納得できました。こうした事実を多くの人は知らないと思います」(中島さん)
これだけ情報化が進みながら誤解は根強く、「角膜をとると三途の川が見えず渡れない」「腎臓がないと、あの世でおしっこができなくなる」といった考えがまかり通っている現実もある。…