社長「今も申し訳なく」日比谷線事故の慰霊式典

　

　乗客５人が死亡、６４人が重軽傷を負った営団地下鉄（現・東京メトロ）の日比谷線脱線衝突事故から１５年を迎えた８日、東京都目黒区の事故現場近くで慰霊式典が行われ、関係者が犠牲者の冥福を祈った。

　　小雨が降る中、事故発生の午前９時１分を迎えると、東京メトロの奥義光社長らが衝突現場脇にある慰霊碑に向け、黙とうをささげた。奥社長は「事故から１５年がたったが、今も大変申し訳なく思っている。安全確保に向けて最大限努力していきたい」と述べた。当時を知る社員は半数以下となったが、奥社長は「事故の与えた影響をこれからもきちんととどめていきたい」と誓った。

　　この日は、遺族や犠牲者の友人らも献花に訪れた。事故で亡くなった藤井新也さん（当時３３歳）の職場の同期だった公務員の男性（４７）は事故後、病院の集中治療室にいる藤井さんの耳元で「みんな待っているから戻ってこいよ」と必死に呼び掛けたが、思いは届かなかった。男性は「こんな悲しい事故を繰り返してほしくない。人間は間違いを起こすという前提に立って、事故を起こさないシステムを作ってほしい」と話した。