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データ分析と活用のイメージ
顧客データを分析し活用することで、顧客の育成と維持を図るだけでなく、本当に大切な顧客にアプローチすることが可能になります。
●カギは顧客の育成と維持
顧客データの活用においては、いかに顧客の囲い込みにつなげられるかが重要な視点です。その意味で、顧客の効率的、効果的な育成、維持がカギを握ることになります。
(1)新規顧客の獲得
見込顧客の中から優良顧客になる可能性の高い顧客を見つけ出し、新規顧客の獲得を目指します。
フラッシュマーケティングや割引施策など、しなくてもよい施策を実施している企業も多いようです。それで一時的には顧客が増えるかもしれませんが、企業にとって本当に有益な顧客といえるのでしょうか。各社のお得なキャンペーンだけに反応する顧客は、必要な顧客と考えるべきではないのかもしれません。
再春館製薬所ではいきなり商品を販売することをせずに、「無料お試しセット」の申し込みから、さらに継続するかどうかというコミュニケーションをとっています。手間がかかりますが、顧客を維持、育成するためには、本当に大切にすべき顧客だけにアプローチしていくことも有益な手法になります。
優良顧客を維持し拡大する活動を通じて、優良顧客となり得る具体的な顧客像が見えてきます。その優良顧客になりやすいお客さまに対してアプローチすることで、効率的なマーケティング展開が図れるようになります。
CRMを導入する企業の新規顧客へのアプローチは、導入していない企業とはまったく異なるものになります。
(2)顧客の維持
データベース化された顧客のうち、分析によってコストをかけるべき育成対象顧客を見つけ出し、効率、効果的な施策の実行を管理していきます。ここでは、RFM分析(※)などを活用します。
※RFM分析=顧客の購買行動・購買履歴から、優良顧客のセグメンテーションなどを行う顧客分析手法の1つ。データベースマーケティングにおいては、顧客データ分析の最も基本的なものであり、アナリティカルCRMシステムなどに機能として実装されていることも多い。
あるアパレル企業の場合、全顧客の2年間の購入金額を比較した結果、上位10%の顧客と下位10%の顧客では、実に70倍以上の開きがありました。
下位10%の顧客10人が離れたとしても、上位10%の顧客(優良顧客)1人を維持したほうが、売上は断然高いという結果になったのです。
(3)顧客の育成と優良顧客の維持
各種の分析によって購入動機や購買傾向を踏まえ、顧客の識別を実現し、各顧客層に合わせたきめ細かな育成・維持の施策を展開します。…顧客の購入動機はさまざまです。顧客の属性と購買履歴から購入動機を推定できる顧客層に分類し、顧客層ごとに育成・維持施策を実施することが重要になります。
(4)施策の実行・管理と効果測定
マスマーケティング戦略の効果測定は、効果の解釈を含め難易度が高いものです。
しかし、CRM戦略における効果測定は解釈が容易です。それぞれの施策を顧客単位で分析することができるので、きめ細かな管理によりPDCAサイクルがつくりやすいのです。
[坂本雅志,Business Media 誠]
(本記事は、坂本雅志著、書籍『この1冊ですべてわかる CRMの基本』(日本実業出版社刊)から一部抜粋、編集しています)