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パナと明暗…シャープ再び崖っぷち 脱・液晶が裏目、事業整理に遅れ
シャープが再び経営危機に突入した。リストラ費用捻出のため、主力行への1500億円規模の資本支援の要請検討が判明。「液晶一本足」からの脱却のため事業を温存し続けた結果、太陽電池やテレビ事業などの改革が国内を中心に遅れたことが響いた。市場の目が厳しくなる一方で、経営陣の責任も問われそうだ。
今回、シャープが検討している債務の株式化は、2004年に双日ホールディングスや三菱自動車が経営の健全性を示す自己資本比率が1%台に陥り、社債の償還の際に活用したことがある。財務バランスの改善にはつながったが、債務超過を回避するための“窮余の策”で、予断を許さない状況といえる。
シャープが経営危機に陥った原因は、赤字事業を採算に乗せることができないままリストラの遅れを招いたことだ。液晶テレビ用パネルの供給過剰が原因で、2012年3月期から2期連続で巨額赤字を計上。約3000人の希望退職を募った。しかしこれ以降は、海外で太陽電池やテレビ事業を縮小したものの、国内では目立った構造改革に取り組んでいない。
ただ液晶パネルのラインを利益率の高いスマートフォン向けに改造し14年3月期には黒字転換、業績は一時的に回復。太陽電池も国の固定価格買い取り制度が後押しした。さらに高橋興三社長の「液晶一本足ではなく収益の柱となる“足”が何本か必要」との信念が事業整理の足かせとなった。
だが14年下期から液晶は中国市場で価格競争が激化。競合他社の躍進もあり、利益は想定ほど伸びなかった。太陽電池は中国勢の躍進で苦戦を強いられ、白物家電は営業黒字を確保するものの、円安によって採算が悪化した。事業を整理する場合、15年3月期の最終赤字は1000億円規模に達する見通しで、2月に業績予想を発表した時点の300億円と大きく乖離(かいり)する。
一方、シャープと同様に12年3月期から2期連続で巨額赤字を計上したパナソニックは、津賀一宏社長がBtoB(企業間取引)シフトを打ち出し、プラズマテレビや個人向けスマホなどから相次いで撤退。成長が見込める自動車や住宅関連分野に注力して業績を回復させた。シャープの歩みとは対照的だ。
シャープは3カ年の中期経営計画が頓挫。新たな計画を5月に発表するが、痛みを伴う改革は避けられない。
日本格付研究所は2日、シャープの長期発行体格付けを1段階引き下げ、投機的水準と呼ばれる「ダブルBプラス」としたばかりだが、引き続き格下げの方向で検討している。市場の目は厳しさを増している。シャープは早期に抜本的な構造改革のビジョンを示す必要がある。(織田淳嗣)