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住宅ローン破綻は誰にでも起こりうる

 住宅ローン破綻は誰にでも起こりうる

 

 住宅ローン破綻の割合はどれくらいなのか

 

 住宅を購入するときには多くの人がローンを借りる。住宅金融支援機構の統計によれば、毎年20兆円前後の新規貸出があり、2014年3月末時点の貸出残高は180兆円あまりにのぼるようだ。また、総務省統計局による「全国消費実態調査」(2009年)では、住宅ローンを借りている世帯が約1,104万世帯で、全世帯の22%を占める。それでは、このうち返済ができなくなった、いわゆる「住宅ローン破綻」世帯はどれくらいあるのだろうか。
 
 残念ながらそれを明確に示す調査資料やデータは存在していないが、住宅金融支援機構の広報誌である「季報『住宅金融』2012年度冬号」に掲載された「家計から見た日本の住宅ローン市場の状況」によれば、3ケ月以上の返済遅延があるのは9万8,694世帯であり、債務者全体に占める比率は0.89%だ。ちなみにこれは住宅金融支援機構だけでなく、すべての金融機関について推計をしたものである。
 
 また、株式会社三菱総合研究所による調査(25機関が対象)では、2002年度から2012年度の融資実行案件のうち2012年3月末時点までに代位弁済されたのが約2,500件とされている。代位弁済は、保証会社に債権が移行した状態であり、簡単にいえば不動産競売または任意売却前の段階になったものだ。資料の中では「平均デフォルト率」が示されていないものの、正常先の約47万件と比較して計算をすれば約0.53%である。3ケ月以上の返済遅延があっても破綻を回避できるケースや、借入後10年を超えてから破綻する例が多いことなどを考えれば、住宅金融支援機構の広報誌に示された数字と矛盾はない。
 
 したがって、住宅ローン破綻をする世帯の割合は0.5%~0.8%程度、経済環境が悪化した時期でも1%を少し超える程度だろうと推定される。住宅ローンの債務者200人のうちで、1人~2人といった割合だ。「借りたお金は必ず返さなければ……」という責任感が強くて真面目だといわれる日本人の破綻率の低さが、金融機関の超低金利による貸出競争を支えているともいえる。
 
 しかし、100人に1人以下だからといって決して他人事ではない。住宅ローン破綻を避けるために苦しい家計を必死でやり繰りしながら、何とか生活を続けている世帯はその数倍になるだろう。住宅を手放したくないために無理を重ねつつ、ギリギリの生活で「破綻予備軍」となっている世帯も多いのだ。…

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