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日銀の金融政策が国民に迫る「投資するか消費するか」の選択
2000年代に入ってから「貯蓄から投資へ」という言葉をよく聞くようになったが、現在、その流れがさらに強まりつつあるのだという。レオス・キャピタルワークスの最高投資責任者・藤野英人氏がその背景を解説する。
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日本では「貯蓄から投資へ」というキャッチフレーズが長年繰り返されてきたが、今年はかけ声だけでなく、いよいよその流れが本格化する年になると予想する。
政府の債務残高(借金)は1000兆円を超え、これを解消するためには、【1】増税、【2】インフレが常套手段となる。すでに消費増税は実施されてきたが、もうひとつのインフレで何を起こそうとしているのか。物価が上がることで現金の価値は相対的に目減りする。これによって1000兆円もの借金の価値を下げようとしているのだ。
そのために国策として「貯蓄から投資へ」の流れを強め、個人が持つ現預金を吐き出させようという動きが高まっている。
昨年10月に追加金融緩和を打ち出し、さらなる追加緩和の観測も高まっている「黒田バズーカ」は、その典型だ。デフレマインドを払拭するために日銀が市場に資金をばらまくことで円の価値を下げる。いわば国民に「預貯金の価値が下がるのがイヤなら、投資するか、消費するか」の選択を迫っているわけである。
実際、個人の現預金は約870兆円あるとされるが、当局はここに狙いを定め、投資を促す施策を続々と繰り出そうとしている。たとえば「NISA(少額投資非課税制度)」の資金枠を広げたり、対象範囲を子どもにも拡大したりといった動きに加え、2015年度税制改正大綱には老後資金を自ら運用する「401k(確定拠出年金)」の対象を拡大するプランが盛り込まれている。
※マネーポスト2015年春号