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注目されているカープの中で、注目されていない監督に迫る
いよいよ今年もプロ野球が開幕する。セントラル、パシフィックともに3月27日から熱き戦いが始まるが、その12球団の中で最も戦いぶりに注目が集まりそうなのはやはりセの広島カープかもしれない。1991年のシーズンでリーグ優勝を成し遂げたのを最後に昨季まで実に23年間に渡って栄冠から見放されている。12球団の中において現在まで最も長期間に渡り、リーグ優勝できずにいるチームとなってしまっているが、今オフはヤンキースからOBの黒田博樹投手が8年ぶりに復帰したことで「今年こそは」と悲願のリーグVを確信する鯉党もきっと多いことだろう。
黒田だけではない。阪神からFAとなった新井貴浩内野手も今季から古巣へ同じく8年ぶりにUターン復帰。さらに広島のフロントは2007年のシーズンを最後に現役を引退したOBの佐々岡真司氏をも、8年ぶりに二軍投手コーチとして呼び戻した。酸いも甘いもカープを知り尽くす3人が8年の時を経て再び加わったことで若鯉ナインもさまざまな要素を吸収できるのは間違いなく、一・二軍を通じてチーム全体にいい意味で劇的な変化がもたらされそうだ。
さて、そんなラジカルな進化を遂げそうな予感が漂うカープを今季から指揮するのが緒方孝市監督である。しかし今年の広島といえば、どうしても話題が黒田に集中していることもあって指揮官にはなかなか注目が集まらないのが現状。しかも緒方監督は他の指揮官と違って心なしか地味な印象が強く、キャンプ中も地元メディアを除いてマスコミから大きくクローズアップされることは「皆無」に等しかった。ところが当の緒方監督は次のように語り、笑い飛ばしている。
「いや、別に私の話題なんてそこまでは必要ないはずでしょう。チームの主役はあくまでも選手。あくまでも監督は脇役であり、裏方なんです。だから選手よりも私が目立ってしまうようではダメ。むしろ注目されなくてOKですよ。
その代わり、どんどんウチの選手に脚光を浴びせてあげてほしい。こちらとしても日なたより日陰になっていたほうがノビノビとできるし、選手起用法や戦術、練習メニューもじっくりと考えられて余計な詮索をされず、おまけに情報漏れの心配もないですからね。そう考えれば、私がメディアから注目されないのはチームにとってプラス材料のことだらけでしょう」
なるほど、確かにそうだ。緒方監督の説明は実に理路整然としていて分かりやすい。どうやら地味だから目立たないというわけでもなさそうで、あえて選手よりも自ら一歩引く姿勢を貫いているからこそ陰に隠れていたというのが真相のようだ。…