＜トヨタ＞年内に中型車を発売 車両開発新手法

　

　トヨタ自動車は２６日、新たに進めている車両開発手法「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー（ＴＮＧＡ）」の取り組み状況を発表した。車種ごとの開発から脱し、ある程度の部品を共通化することで基本性能を高めながらコスト削減を図る手法で、ＴＮＧＡを取り入れた中型車を年内に発売し、２０２０年ごろには世界販売台数の半分まで拡大するとしている。
　
　　これにより、車の中核となるパワートレーン（駆動装置）は、エンジンの燃焼効率やトランスミッション（変速機）が動力を伝える際の効率が高まり、燃費性能が従来比２５％、動力性能が同１５％以上向上するめどがついた。ハイブリッド車でも、モーターや電池の小型・効率化などで燃費が同１５％以上高まる。プラットフォーム（車台）は骨格の構造から見直し、重心を低くすることで安定感が増し、剛性が同３０〜６５％高まるという。
　
　　年内に発売予定の新型プリウスから導入される見通しで、燃費性能はガソリン１リットル当たり４０キロを超えるとみられる。
　
　　加藤光久副社長は愛知県豊田市で記者会見し「車の基本性能や商品力を大幅に向上させた上で、全体最適を考えて賢く共用化を図る。効率化により浮いた元手を再投資していく」と述べ、競争力を高め、好循環を生み出す考えを強調した。
　
　　一方、トヨタは世界全体の工場稼働率が現在９０％を超え、リーマン・ショック後の０９年の約７０％から改善したことを明らかにした。１３年度から３年間、工場の新設を凍結して既存工場の生産性を高める取り組みを進めており、複数の工場で同じ車種を生産する体制を整えるなどした成果という。【和田憲二】
　
　　【ことば】ＴＮＧＡ（トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー）
　
　　自動車市場のグローバル化に伴う車種の増加を背景に、中長期の商品ラインナップを見すえ、トヨタ自動車が２０１２年４月に発表した新たな車両開発の手法。車１台で約３万点ある部品の約６割を共通化し、複数の車種を同時に開発することで工程を２０％減らし、商品力向上とコスト削減を両立させる。従来は、車種ごとの開発でエンジンで約８００種類、プラットフォームで約１００種類に達し、開発効率が悪かった。同様の見直しは独フォルクスワーゲンや日産自動車なども進めている。