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システムソリューションプロバイダを目指す -社名変更で本気度を示すMaxim
Maxim Integratedの日本法人であるマキシム・ジャパンは9月20日、都内で会見を開き、同社本社の社名を9月5日(米国時間)付けで従来のMaxim Integrated ProductsよりMaxim Integratedに変更し、かつコーポレートロゴを刷新したことを明らかにした。
Maxim Integratedのシニア・バイス・プレジデント,通信および車載ソリューションのMatt Murphy氏
同社は1983年の設立で、来年2013年4月には創業30周年を迎える。この30年の間、「アナログ半導体の世界は大きく様変わりした」とMaxim Integratedのシニア・バイス・プレジデント,通信および車載ソリューションのMatt Murphy氏は語る。具体的には、30年ほど前は、ディスクリートの部品を組み合わせてビルディングブロックとして利用していた。それがやがて、システムとして統合されたソリューションが求められるようになり、同社もシステムソリューションを提供するようになった。そして現在は、というと、「アナログ半導体市場は大きな転換点に差し掛かっている」という。というもの、システムソリューションからさらに上の考え方として、単一IC内にシステムを集積しようという動きが出てきたのだという。「こうした時代の変化に対応できない企業は、結局その波に乗れず、終焉を迎えることとなる」と同氏は、今、同社がこうした対応の強化を進めていることが、将来的のさらなるビジネスの拡大の足場になると強調する。
アナログ半導体における30年の流れ。個々のディスクリートを組み合わせていくビルディングブロックの形式から、それをシステム化する流れとなり、やがてそれらを1つのICとして集積化する方向へと向かってきているという
事実、同社の売り上げ構成を見ると、2008年以降の売り上げの伸びの原動力は高集積化された製品である。従来の標準型の製品はほぼ横ばいのままであることを考えると、売り上げの拡大はそうした高集積化製品が市場に受け入れられていることの裏返しといえる。「こうした大きな変化の波の中で高集積化にフォーカスしたことが成長に結びついており、2008年度と2012年度の売り上げを比べると、成長率は21%であり、競合他社の成長率と比べてみれば、その差が歴然であることが分かってもらえると思う」。実際、同社は1991年のアナログ半導体のシェアではトップ10にも入れなかったが、2001年には6位に成長し、2011年には3位に入るまでシェアを伸ばしてきている。
Maximのアナログ半導体におけるシェアの変化。近年は上位10社が市場の50%以上のシェアを持つようになってきており、今後の高集積化の流れにより、それに追随できないメーカーがふるい落とされていくとの見方を示す
また、単に既存の機能だけを集積すれば良いというわけでもない、というのが他社がなかなかうまく高集積化の波に乗り切れないところでもあるという。例えば3年ほど前に登場した第1世代のスマートフォン(スマホ)の基板の場合、デジタル半導体が占める面積は600mm2、アナログ半導体は145mm2で、アナログ半導体が処理する機能数は42であった。これが1年前の第2世代のスマホではデジタルが480mm2と減っているものの、アナログはパワーマネジメントやバッテリの残量監視タッチスクリーンコントローラなどの機能が搭載され機能数は55へと増加、面積も188m2へと拡大されている。そして次世代とされる第3世代スマホではデジタルは363mm2へとさらに減っているのに対し、アナログは192mm2へと拡大、機能の数も82へとさらに増大している。「アナログの面積は、カスタマの求める機能が増えるたびに増えていく。まさにスマホ分野で我々が取り組んでいる課題は、こうした機能を高集積で提供するということだ」と、カスタマニーズがアナログ半導体の高集積化をけん引しているとし、こうしたニーズはスマホのみならず、産業分野や通信、自動車、エネルギーなど幅広い分野で求められているとする。
スマートフォンの世代別に見るデジタル半導体とアナログ半導体の占める面積と、アナログ機能の数
Maximの2011年度の売り上げ構成。売り上げの伸びを支えているのが高集積化されたIC群で、その適用分野は広範におよぶ
新たな製品をけん引するリーダーを目指しコーポレートロゴを刷新
こうした高集積化の波に対応するために、同社は社名とコーポレートロゴの変更を決断した。すでにJR品川駅の改札口付近に同社の新たなブランドロゴを掲げた広告看板を見ることができる。「なぜコーポレートブランドを刷新したかといえば、製品トレンドの変化をしっかりととらえていくという想いと、高集積化に向かう流れの中で、自分たちがそういう新しい製品をけん引していくリーダーであるということを示したいということで決定した」とし、業界が大きく変化する中で、同社も変化する必要があり、その意思表明のために行ったものであるとした。
また、社名の変更についても、「これまではMaxim Integrated ProductsだったのをMaximIntegratedへと変更した。例えばAppleもある時、Apple ComputerからComputerを省いたが、考え方はそれに近い。AppleはPCを売る会社から、ポストコンピュータを売る企業になりたいということで変えたが、我々もプロダクトのプロバイダから、ソリューションを提供する会社になりたいと考えたことからProductを外した」と説明する。
左がMaximが創業より一貫して使用してきた旧コーポレートロゴ。右が社名変更より利用を開始した新しいコーポレートロゴ。これまでの角張ったイメージから、丸みを帯びたものへと大きく変更されており、同社が今回の戦略方針の変化に示す意思の強さを表すものとなっている
そして、今後の日本市場についてだが、4つの市場に注力していくという。
1つ目がハイエンドのコンシューマ分野である。例えばゲーム機やモバイルデバイスなどがこれに当てはまり、同氏は「日本の企業が世界に向けてイノベーションを提供している分野」と表現する。2つ目は「車載分野」で、3つ目が「インダストリアル」、そして4つ目が「通信」であり、これは同氏とマキシム・ジャパンの滝口修 代表取締役社長の間でも共通した認識となっていることを示している。
最後に同氏は、現在の日本市場について、「日本のテクノロジーを有する企業は、苦境と言われているが依然として世界でリーダーポジションの企業が多い。苦境の中からイノベーションを生み出せるだけの力を持つ企業も多くいると思っている。車載機器ベンダをいくつか訪問したが、さまざまなイノベーションを生み出そうという気概があふれていた。こうした状況下でなんらかの変革を余儀なくされるのであれば、イノベーションこそが重要であり、今後のMaximではそうした企業のイノベーションを生み出す手伝いをできていければと思っている」と、システム全体を見て必要となる機能を単体で販売するのではなく、全体を通じてトータルソリューションとして提供していく体制を強化していくことで、カスタマのビジネスの拡大を支援していく姿を強調した。