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ファン急増「ヤマー チャン」 美形キャラで理解促進 伊藤忠商事の「Office 365」活用術
総合商社の伊藤忠商事が、「個人の生産性向上」と「組織の連携強化」2つのテーマを満たすべく、全社コミュニケーション基盤を刷新。日本マイクロソフトの「Office 365」を導入した。
2014年6月に「Lync Online」「Yammer」「SharePoint Online」を稼働、同年8月に「Exchange Server」と「Exchange Online」を組み合わせたハイブリッド構成のメールシステムへ移行した。Exchange Serverの提供基盤にはNTTコミュニケションズの「Bizホスティング Enterprise Cloud」(BHEC)を採用した。
世界65カ国に約130の拠点を持ち、「繊維」「機械」「金属」「エネルギー・化学品」「食料」「住生活・情報」6つのカンパニーを置く伊藤忠商事では、「ワークスタイル改革」に取り組んでいる。2010年4月より、まずは会議と資料の削減に着手。2012年10月にフレックスタイム制度の全社一律適用を廃止(コアタイム開始間際に出社する社員が多く、その分残業が増える傾向があったため)。2014年5月には、20時以降の残業を原則禁止し、その代わり早朝勤務手当の増額や無料朝食支給を行う「朝型勤務制度」を正式に導入した。
「前年度同時期比で、時間外勤務手当が約7%削減されました。“終わりが決まっていない働き方”が改善され、時間に対する意識が向上。仕事の効率化が進んでいます」(伊藤忠商事 IT企画部長の渡辺一郎氏/出典:マイクロソフトWebサイト)。そんな「ワークスタイル改革」をさらに進めるため、ITによるコミュニケーション基盤の刷新も必要と位置付けた。
また、各カンパニーは内部の連携はこそ強固だが、横の連携が比較的弱い部分もあった。
「例えばコンビニ事業。食品や商品はもちろんですが、包装資材の化学品などの分野もあり、さまざまなカンパニーが関与します。よりよい商品を提案するには横の連携強化が不可欠です」(渡辺氏/同上)
加えて社内システムとして、メールサーバの刷新時期が迫っていた経緯もある。同社はこれまで長期に渡ってSun Java System Messaging Serverを使用していたが、より横の連携も密にとれるメール+コミュニケーションのためのシステムを望んでいた。
「実は、海外拠点ではExchange Serverを使用しているケースが多い。…海外駐在から戻ってきた社員からは、国内のメールシステムはスケジューラーとの連携がなく、使いづらいと不評でした。モバイル環境での利用のしやすさなども考慮し、まずはここを刷新する必要があると判断。その後コミュニケーション基盤全体の見直しへと、検討内容が広がっていきました」(伊藤忠商事 IT企画部技術統括室主任の田中仁志氏/同上)
加えて、顧客や取引先との契約上、海外のサーバ(データセンター)へメールデータを含む重要な情報を保管できないケースもある。コミュニケーションツールが多様化したとはいえ、メールは基本となる最重要なツールであることも変わらない。より強固な安全・安心を実現するため、メールサービスの提供基盤にはとくに安全性を求めた。
●対策と方法:Office 365+Bizホスティング Enterprise Cloudでハイブリッド型メールシステムに
この要件より、
・Web会議、社内ポータル、メール、SNSなどコミュニケーション手段を融合した「Office 365」を導入
・NTTコミュニケーションズのIaaSで稼働させた「ハイブリッド構成」のメール
を選定した。
まず、同社は新ツールを「LYS」(リス)と名付け、2014年6月にLync Online(Web会議)、Yammer(社内SNS)、SharePoint Online(情報共有)を稼働、8月にはメール環境もExchange ServerとExchange Onlineを併用したハイブリッド型メールシステムに移行した。利用規模は伊藤忠商事の全従業員を含む、約6000ユーザーとなる。
「これまでなかったツールが加わる上、PC、スマートフォン、タブレットを含むあらゆるデバイスからいつでも、どこでも利用できるようにした。さらにSNSなどで社員同士がより密接にコミュニケーションが取れれば、当然、個人の生産性向上と組織の連携強化にもつながります」(伊藤忠商事の渡辺氏/同上)
メールの提供基盤は、同社の事情に合わせてカスタマイズした。サービスのベースには「Office 365」を使いつつ、Exchangeは別に本番環境用のインフラを用意。マイクロソフトのサービスをバックアップシステムとして待機させつつ、本番システムは別のインフラで稼働させるハイブリッドでの構成とした。
NTTコミュニケションズの「Bizホスティング Enterprise Cloud」は、海外だけでなく日本国内にもデータセンターを持っている。…国内のデータセンターがあり、何か問題が発生した場合に担当者がすぐに駆けつけてくれる点を重視したという。
●導入のねらい
・「個人の生産性」と「組織の連携力の強化」を支える従業員のコミュニケーション基盤を整備
・2つのインフラによるハイブリッド構成で「メールの安全性」を高める
●効果と成果:Yammerの社内連携に期待 美形キャラ「ヤマー チャン」で認知促進
まず運用をはじめたOffice 365の3サービスから。「Lync Onlineは、会議中、離席中など、相手の状態(プレゼンス)を見ながら、状況に応じてさまざまなツールでコンタクトできる。つまりコミュニケーションのムダがなくなるのがすぐ分かります。特にインスタントメッセージは、襟を正さずとも、個人スマホのLINEのように気軽に会話できる点が好評です」(伊藤忠商事の渡辺氏/同上)。
社内向けSNSであるYammerは、特に社内連携での期待が大きい。2014年12月には社員の理解をさらに深める「Yammer 10 days」という社内トレーニングイベントを開催。二次利用フリーとなっている某漫画作品の登場人物を活用し、伊藤忠商事独自のキャラクター設定を行った美形女性キャラクター「ヤマー チャン(Yammer Chang)」さんが答えてくれる質問箱を用意し、Yammerのアカウントも開設した。「彼女はマドンナ的存在。ファンになっている社員も少なからずいるようです」(伊藤忠商事 IT企画部技術統括室の福田祐也氏/同上)。
2014年12月時点でのYammer利用者は、全社員の4分の1ほどまで増えた。導入する部署では特にコミュニケーション面で貢献しているようだ。伊藤忠商事のIT企画部は業務報告にYammerを使うようにしたことで、部長へ直接もの申すといった機会も生まれるなど、結果として組織全体がフラットかつガラス張りになったという。
「投稿した報告には部長がすべて“いいね”とコメントを付けてくれるので、以前にも増して報告に張り合いが出ています」(福田氏/同上)
Yammerのトピック機能により、過去の報告内容の参照も簡単になる。投稿を検索すれば報告書の一覧が表示される。それを示せば、新メンバーへの引き継ぎも用意であり、会議での議事進行の効率化も期待できる。このほか、産休育休中の女性社員に向けた情報発信や社員同士の交流の場としても活用されている。…「伊藤忠商事は2010年に社員用託児所“I-Kids(アイキッズ)”を開園しました。託児所にいる子どもたちの様子をYammerに投稿するといったことも行われています。今後は部内だけではなく、他の組織との連携もYammerで強化するとともに、多様な働き方の支援はさらに拡大していきたいと考えています」 (渡辺氏/同上)
今後は他の業務システムとも連携できる整備とともに、社内でのさらなる利活用を推進するほか、グループ内企業への横展開も進めていく予定。SharePointの活用知識を深める目的で「シェアポ マスター」という社内認定制度の展開なども計画している。
「このような一連の活動を積極的に行うことで、社外でも社内と同じように働けるワークスタイルを定着させたいと考えています。伊藤忠商事は、情報武装ナンバーワン商社を目指していきます」(伊藤忠商事の渡辺氏/同上)