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東大、全工程を半導体プロセスで製作可能な薄膜3軸触覚センサを開発

東大、全工程を半導体プロセスで製作可能な薄膜3軸触覚センサを開発 

 東京大学(東大)IRT研究機構の下山勲教授および高橋英俊特任研究員らの研究グループは、「薄膜3軸触覚センサ」を開発したことを明らかにした。同成果は、2012年1月29日から2月2日にかけてフランスのパリで開催される国際学会「MEMS2012(The 25th IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical Systems)」にて発表される。

 触覚センサは、面に対して垂直な方向の圧力と平行な2方向のせん断力(摩擦力)を検知することが要求されており、従来のせん断力を計測する触覚センサでは、平面構造の上に突起や直立したカンチレバーにより、これらの構造と平面との間の変形を検知していた。

 今回の研究では、SOIシリコン基板の厚み20μmのデバイス層内に形成したビーム(両持ち梁)の側面にピエゾ抵抗層を形成、そのビームが摩擦力によって基板平面内で変形する量を検知してせん断力検出素子とした。基板上に出っ張った構造を持つ従来の触覚センサに比べて、高さ方向に制約がないため、より薄いセンサを作ることができるほか、構造が単純なため、すべての工程を半導体プロセスで行うことが可能となり、低コストで個体差のないセンサを製作することが可能になるという。

 実際に試作された触覚センサチップは、せん断力検出素子として側面にピエゾ抵抗層を形成した2対のビームと、圧力検出素子として表面にピエゾ抵抗層を形成した1対のビームがシリコーンゴムで覆われている形状で、せん断力検出素子の1対のビームに、ビームの側面方向からせん断力を加えた場合、2本のビームが変形し、その際に対になったビームの対称な側面にピエゾ抵抗層が形成されるため、それぞれの側面が伸長および圧縮され、抵抗値がそれぞれの伸縮にあわせ正負逆方向に増減。その抵抗値変化を計測することで、せん断力を検出することができるという仕組みになっている。

 今回試作されたセンサチップの写真

 また、2本のビームの抵抗値変化を計測しているため、温度変化や他軸方向の変形の影響をキャンセルすることが可能だという。

  センサチップのコンセプト図

 なお、IRTでは、JST若手研究者ベンチャー創出推進事業の支援を受けて触覚センサチップの事業化を推進するとともに、中井亮仁特任助教が、路面に対するタイヤの滑りの予知、すべり感覚を持つロボットハンド、携帯電話のポインタなどの入力インタフェースに、今回開発した微小触覚センサチップの応用を進めているという。

 今回提案された触覚センサの原理

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上原健二
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