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流星群の次は金星食

流星群の次は金星食  

 2012年8月14日の未明(早朝)、日本全国で夜間観察可能な比較的条件のよい金星食が23年ぶりに起こる。これに併せて国立天文台では、金星食の説明や観察方法などの説明を行うWebサイトを公開している。

 金星食は金星の前を月が横切って、金星を隠す現象で、惑星食の一種。今回の金星食は石垣島などごく一部の地域を除く日本全国で観察することができる。主な都市部における月の向こうに金星が隠される「潜入」の開始時刻と、月の向こうから現れる「出現」の開始時刻は以下のとおり。

札幌:潜入開始時刻(2時47分)、出現開始時刻(3時50分)、日の出時刻(4時39分)東京:潜入開始時刻(2時44分)、出現開始時刻(3時29分)、日の出時刻(4時59分)福岡:潜入開始時刻(2時41分)、出現開始時刻(3時27分)、日の出時刻(5時40分)那覇:潜入開始時刻(2時53分)、出現開始時刻(3時00分:出現終了時刻)、日の出時刻(6時01分)(那覇は金星は一部しか月に隠されないため、出現開始がないため、出現終了時刻を記載)

 札幌・東京・福岡・那覇で観察したときの、金星の潜入・出現位置。那覇では、月の縁が金星すれすれを通り過ぎるため場所によって、金星が一部だけ月に隠されるという、興味深い現象が起こるはずだという(出所:国立天文台)

 金星は点像ではなく大きさがあるため、潜入時は一瞬では消えず、1分以上かけて、徐々に月の向こう側に隠れていくという。そのため肉眼で見ていると、徐々に暗くなって消えていくように見えるほか、出現の時にも徐々に月の向こう側から姿を現すように見えるという。

 札幌・東京・福岡の各地で、潜入時・出現時・日の出時に月と金星が空のどこに見えるかのイメージ図。潜入の前、月は東の空の低い位置に見えており、この時、金星は月の下に見えることとなる。その後、月と金星は右上に移動しながら接近し、金星が月に隠され、出現時は金星は月の右上から姿を現すこととなる(出所:国立天文台)

 観察方法の注意点としては、潜入も出現も東の空の低い位置で起こるため、その方向が山やビルなどで視界が遮られる場合は金星食の観察ができないほか、当然ながら天気が悪く雲がある場合も、金星食を観察することはできない。

 金星食は肉眼での観察も可能で、特に何か道具を用意する必要はない。また、国立天文台では、「今回は月が比較的細いため、金星食を観察していると、月が細いときに見える「地球照」も、肉眼で観察することができるかもしれません。目を凝らして月の暗い部分をよく観察してみましょう」と説明しているほか、金星が明るいため(マイナス4.3等級)、日の出後も目の良い人であれば観察することができるかもしれないとしている。

 一方、双眼鏡や望遠鏡で観察する場合、倍率や性能によっては金星の形や月の表面のクレーターなども観察することができるという。ただし双眼鏡の場合、手持ちで観察すると手ブレが大きいため、月や金星の細部がよく見えないことになりかねないため、なるべく三脚などで固定して観察することが推奨されている。

 このほか、ビデオカメラやデジタルカメラでの撮影の場合に関する観察手法も紹介されている。こうした機材を活用する場合、撮影時にズーム機能をなるべく望遠側にして撮影することが推奨されており、やはり三脚に固定すると手ブレを防ぐことができるとしている。

 また、写った像が明る過ぎたり、逆に暗くて月や金星が写らなかったりする場合は、シャッタースピードや絞りの調節を勧めている。月が比較的明るいが、同じ面積で比べた場合金星はさらに明るいため、シャッタースピードを速めにしたり、絞りの値を大きく設定するとよいとするほか、露光をかけすぎると、像がにじんで広がり、月や金星の形がわからなくなってしまうほか、「ゴースト」と呼ばれる実際には存在しない像が発生することがあるという。さらにピントについては、設定することができるカメラでは「無限遠」に設定、無い場合でも「遠景モード」などを試してみるのもよいかもしれないという。

 このほか、今回の金星食に併せて各地の公開天文台などではインターネット中継が行われる予定。国立天文台にて紹介されているWebサイトは以下のとおり。

なよろ市立天文台(北海道)札幌市青少年科学館(北海道)せんだい宇宙館(鹿児島)

 なお、金星食そのものは頻繁に発生しているが、夜間や日本で、といった観察しやすい条件で次に発生するのは2063年5月31日になるという。

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