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独創的なスマホアクセはどう生まれる? 「Deff」製品のデザインを探る
次々と独創的なデザインで新製品を発表し続けるDeff(ディーフ)。なんと、製品の大半は社内でデザインされているらしい。それならば! ということでDeffのデザインディレクターの矢原拓氏に突撃インタビューをしてみた。Deffは東京と大阪の2カ所に拠点がある。デザインなど開発に関わる部署は大阪。大阪城下の中心でもある本町に事務所がある。
●デザインで競うのが楽しい
――(聞き手、湯梨浜健) まず、デザインの世界に入った経緯を教えてください。
矢原氏 学生の時はスケボー少年でして、同時期に色々な音楽を聞いていました。それらCDのジャケットなどのデザインに引かれるものがあって、その後、洋服にオリジナルデザインのプリントをするようになり、大阪のショップで売るようなインディーズ活動を始めました。革ジャンにオリジナルプリントした1点物が数万円(!)で売れたりしたことで、デザインとモノづくりを意識するようになったと思います。
デザイン事務所に就職してからは、商品パッケージのロゴやラベルのデザインをすることが多くて、その頃に3Dデザインなどを手がけました。仕事がとても面白い時期でしたね。その後、同僚に勧められてデザインコンペに応募する機会があって、そこで初めて“デザインで競う”ということを実感して、これまで以上にデザインに対して熱中しました。
その後メーカーのプロダクトデザイナーに転職して、PC周辺機器をデザインしていたのですが、在籍中に無断でiFデザインアワード(※)に応募したら入賞してしまったというエピソードもあります。もちろん後で承認は頂きましたが(笑)。
※:iF Design award(iFデザイン賞)はデザイン界におけるオスカー賞とも言われている、世界でも最も権威のあるデザイン賞。本部はドイツを拠点として1953年より始まっており、毎年世界中の工業製品(生産されているもの)を対象に審査、選定されている
―― iFデザインアワードって、プロダクトデザインの権威とも言われている賞ですよね……(汗)
矢原氏 ええ、勝手に応募したことはダメだったんですが、入賞したことで、自分も含めて同僚のデザイナーにもやる気がでて士気も上がったと思います。
―― すごいのは、去年と今年もiFデザインアワードを受賞しているという……。
矢原氏 今回はDeffの新しいオーディオブランド“Deff Sound(ディーフサウンド)”から発売された2製品が受賞しました。…オーディオ機器という枠に捕らわれない自由なデザインと使い勝手が評価されたようです。
●バンパーなんて売れないと思っていた
矢原氏 メーカーを辞めた後、フリーデザイナーとして個人で仕事をするようになっていたのですが、その頃に今の社長(Deffの荒木 氏)と意気投合しDeffに入社しました。最初の仕事はiPhone 4のバンパーでした。
当時バンパーをデザインして販売している国産メーカーはなく、純正を除いて米国の1社から発売されたばかりでした。最初は「こんなん売れるんかな?」ってパッとしなかったんですが、オリジナル(iPhone)にない立体感や持ちやすさなどをクレー(粘土)で考えているうちに、Deffの代表作と言える“CLEAVE(クリーヴ)”シリーズの原型ができ上がったんです。でき上がった時は「こんなんやったら欲しいわ!」と自分にスイッチが入って、そこから急に盛り上がりましたね。
―― iPhone 4向けのCLEAVEは商業的にも大成功して、Deffの名前は一躍有名になりましたが、こういったプロダクトデザインをする上で気を付けたり大切にしているところはなんでしょうか?
矢原氏 簡単に言えば“一目ぼれ”。使いやすさは当然ですが、製品を見たその人の心をガッチリとつかめる良さが有るかってことです。全体でも良いし、ワンポイントでも良い。そういうのを含んだデザインができるように心掛けています。そして、実際に買ってくださったお客様が使うことで他の人に見せる機会もありますから。実際に知人のを見て欲しくなったとよく聞きました。
●新しい素材、新しいデザイン
―― 最近では“Chrono(クロノ)”という製品もありますよね?
矢原氏 大型化するスマートフォンに対応した新しいデザインです。まず手で握るところは極限まで薄くしたいと思いました。あとバンパーの固定に工具が不要な“QuickLock(クイックロック)システム”も考案しました。全体のデザインイメージは腕時計をイメージしていて、デザインのポイントであるQuickLock部とバランスが取れる形状でバンパーに置き換えました。
―― なるほど、大きなネジは時計のリュウズをイメージしている訳ですね。その中でも矢原さんの思い入れのあるデザインは?
矢原氏 そりゃぁもう、初代CLEAVEですよ!
―― やっぱり(笑)。今では製品の素材にアルミニウムを始め、カーボンやレザーなど色々と使われていますが、素材について何か考えられていることはありますか?
矢原氏 一番最初に発売したiPhone 4のCLEAVEの素材には、目新しさと高級アクセサリーという位置付けもあってアルミニウムを選びました。…でも、当時自分の中ではあまり使わない素材でした。その後、ご存じのようにアルミニウム以外のカーボンファイバーなども使うようになり、素材の特性をキャラクターとして生かしています。次の新製品では、新たにステンレスを使います。デザインもステンレスならではの新しいアプローチをした自信作です。
―― これからのテーマは?
矢原氏 仕方のないことなのですが、現在メインであるスマートフォンアクセサリーは元の商品のライフサイクルに影響してしまいます。できることならば、スマートフォンに限らず長く使えってもらえる物をもっと多く手がけたいですね。
Deffデザインディレクター 矢原 拓(Taku Yahara)
1978年生まれ。2003年よりプロダクト/グラフィックデザインを中心に活動を始める。
2004年から2009年までの間に、14製品でグッドデザイン賞を受賞。
2006、2014、2015年ドイツiFデザイン賞受賞。2012年ドイツred dotデザイン賞受賞。
[湯梨浜健,ITmedia]