仕事で役立つ人気ビジネスアプリおすすめ!
[PR]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
現場力強化が新興国ビジネスの10年後を決める~インドネシアを例に
”All of Singapore’s growth can be explained by increases in measured inputs. There is no sign at all of increased efficiency” - Paul Robin Krugman
●企業レベルでの「生産性向上」への意識の高まり
ノーベル賞経済学者ポール・クルーグマンは、1994年に「The Myth of Asia’s Miracle」と題した論文で、アジア新興国の成長について上記のように評した。すなわち、これまでの成長は資本と労働の投入量の増大によるもので、生産性上昇による成長がほとんどなく、生産性の向上なしには今後の持続的な成長は期待できない、とするものだ。インドネシアは、論文で名指しされたアジア新興国の1つであった。
それから約20年後の2012 年、ADB は”Indonesia risks falling into the middle-income trap” と題するコラムで、「93年に一度は中所得国に達したインドネシアは、20年後もなお『中所得国の罠(Middle Income Trap)』と戦っている」と論じ、先進国入りするために必要な要素として、インフラの改善やガバナンスの強化と並んで、人材育成の重要性を挙げている。
豊富な天然資源を持つインドネシアでは、「オランダ病」という言葉もよく聞かれる。天然資源による外貨獲得に由来する経済成長が多くの雇用を創出しない一方、通貨の上昇を招き、「生産性向上を伴っていない人件費の高騰」を引き起こすため、製造業の国際競争力を殺ぎ、成長が停滞する現象のことだ。
現在のインドネシアの労働生産性はどの程度のレベルなのだろうか。生産性に関する国際機関であるアジア生産性機構(APO) によると、インドネシアの労働生産性は、労働人口1人あたりGDPの比較で、ASEAN平均を約10%下回り、中国より3割低く、マレーシアの約1/3、日本の1/6 という水準だ(図A参照)。
また、インドネシアの有力紙Tempoの調査によると、輸出用の靴を1足生産するのに必要なコストは、インドネシアで10.08米ドルなのに対し、中国では7.12米ドルと3割低い。当業種での両国での月給がほぼ同じにも関わらずこの差が生じるのは、インドネシア人は1日に0.8足しか作れないのに対し、中国人は1.1足作れるからだそうだ。…