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近大、養殖マアナゴを出荷
近畿大学(近大)は、同大水産研究所が富山実験場(富山県射水市)にてアナゴの中で最も一般的に食用とされるマアナゴの陸上養殖を行ってきたが、その初めての成魚の出荷を射水市の堀岡養殖漁業協同組合を通じて県内の飲食店などに向けて出荷を開始したと発表した。
今回出荷が開始されたのは、2012年3月末に瀬戸内海で漁獲された天然産稚魚(平均全長27cm、平均体重26g)約6500尾のうち、商品サイズ(45cm・150g以上)に達した約3000尾。
実験場は30t円形水槽で、夏でも水温20℃前後に維持された深層海水(富山湾の清浄で低温な100m深層海水)を用い、主にウナギ用の市販配合飼料を与えて飼育がおこなわれてきた。マアナゴは食材として日本人に馴染み深いが、天然産稚魚の入手が難しいため養殖の割合は僅かで、大部分が天然資源で賄われている。同大では2004年から、天然資源に頼らない完全養殖の実現を目指し、和歌山県白浜町の白浜実験場にて養殖研究を開始しており、2008年には稚魚になる前のノレソレと呼ばれる状態(全長8~10cm)から成魚に育てることに成功していた。その成果を受けて2010年に、より生育に適した低温の海水を得られる富山実験場に拠点を移して研究が続けられてきていた。
今後は、今回、養殖に成功した成魚の一部を親魚候補として残し、2013年の春から人工孵化・完全養殖の実現に向けた研究活動を本格的に開始するとしている。また、すでに富山特産のシロエビの剥き身加工時に出る残渣物を餌に添加する研究が進められており、こうした工夫をさらに重ねていき、美味と風味を備える新たな富山のブランド地場産品としての定着を目指すともしている。
マアナゴを飼育している30tの円形水槽
今回出荷される養殖マアナゴの成魚
養殖マアナゴに与えられる人工飼料