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ISS、20年まで運用可能なことを確認
国際宇宙ステ-ション(ISS)計画に参加しているカナダ・欧州・日本・ロシア・米国の各宇宙機関は3月11日、都内で宇宙機関長会議(HOA)を開催、ISSの運営に関する共同声明を発表した。また、8年ぶりの日本開催を記念して、一般参加者と各宇宙機関長が参加したミニシンポジウムも開催された。
シンポジウム会場受付付近に飾られていた会議に参加した5機関の旗を掲げたスタンド
同会議はISS計画の協力活動を評価する目的で開催されたもので、ISSの組み立て完了が間近となり、また6人の搭乗員常駐体制を支援する能力が整った現状を踏まえ、世界最大の国際宇宙施設の運用と管理を含め、軌道上における実験と発見に向けた機会の提供ができるようになったことが確認された。
特に、ISSの独特な環境下を活用することにより科学技術の発展を推進できるという、これまでに先例のない機会であることに注目。低軌道を超える将来の探査活動への道を拓くともに、地上の人類への利益をもたらすことが確認された。
また、5機関によるパートナーシップの進展により、さらに統合された国際的な運用と研究を試みることが可能となることから、将来の国際協力ミッションにおけるより強固な協働体制への道が開かれることも確認された。
加えてISSの運用に関して、これまでの計画だった2015年を超え、少なくとも2020年まで継続することに技術的な制約がないこと、ならびに軌道上の各種要素を2028年まで保証するための検討が進められていることに言及。2028年というのはISSの最初の部品が打ち上げられた1998年から、ちょうど30年にあたるとのことで、果たしてそうした部分が30年間維持できるか否かの検証が求められているとした。また、各宇宙機関長は、ISSを活用した際の便益が示される限りは、運用と利用を継続すべきであるという強い共通の関心を表明し、2010年後半には今後10年間、ISSの活動を継続していくための合意に達せることができるように、各国政府に提言していくことに合意したという。
ミニシンポジウムの司会は日本科学未来館館長の毛利衛氏が担当。宇宙航空研究開発機構(JAXA)理事長の立川敬二氏のほか、米国航空宇宙局(NASA)長官であるCharles Bolden氏、ロシア連邦宇宙局(FSA)長官であるAnatoly Perminov氏、欧州宇宙機関(ESA)長官であるJean-Jacques Dordain氏、カナダ宇宙庁(CSA)長官であるSteven G. MacLean氏と、各国の宇宙機関長全員が参加する形で行われた。
ミニシンポジウムに登壇した5機関長(並び準はアルファベット順とのことで、左奥から、司会者の毛利衛氏、宇宙航空研究開発機構(JAXA)理事長の立川敬二氏、米国航空宇宙局(NASA)長官のCharles Bolden氏、ロシア連邦宇宙局(FSA)長官のAnatoly Perminov氏、欧州宇宙機関(ESA)長官のJean-Jacques Dordain氏、カナダ宇宙庁(CSA)長官のSteven G. MacLean氏となっている)
まず話題になったのは同会議で話し合われた先述の内容の説明。その後、各自のISSへの想いが語られた。
各国の機関長の席の前に飾られていた各宇宙機関のパネル
JAXA理事長の立川氏は、2009年がJAXAの、そしてISSにとって飛躍の年となったことを指摘。若田宇宙飛行士の長期滞在を皮切りに、日本実験棟「きぼう」の完成、HTVの打ち上げ成功などを経て、「JAXAが開発したさまざまな技術、機器の今後の運用に向けた準備ができた」(立川氏)と表現。「2016年以降をどうするかと考えた場合、これまで得た技術、例えばHTVの回収機能や有人の宇宙送出技術などを発展させていく必要がある」(同)と将来に向けたJAXAの方向性を示した。
また、ISSの運用延長については「日本の宇宙機関としは、政府としてその効果を考えて早期に決定をしてもらいたいと思っている」と日本政府に向けて理解を求めた。
CSA長官のMacLean氏は、ISSの活用について言及。「ISSを作るという段階から、どう利用していくのかという時期に差し掛かった。こうした取り組みについて我々は困難な国際協力ながら、全員一致で乗り越えることで、将来の国際協力の道筋を示したい」と述べ、ISSでは国や人種は関係なく、チームとしてどう機能していくのかが重要であることを強調した。
また、カナダとして医療やライフサイエンスなどの分野に注力し、多額の資金が費やされていることに対し、技術的なデモンストレーションなどを行うことで、国民への理解を進めていくほか、ISSが世界の実験棟であることを示し、地上に向けたアイコンとしての役割や国際協力を行っていく際の力を合わせて物事を進めていく象徴としていきたいとの希望を語った。
ESA長官のDordain氏は、ISSの完成に向けさまざまな困難があったものの、これまで立ち止まることなく建造を進めてきたことに触れ、「多くの人々がISSを活用したいと言っている。ISSはそうした人達も含め常に新しいアイデアを募集している」と語り、そうした意味でパートナーシップは将来的に続いていくとした。
FSA長官のPerminov氏は、ISSの意義について「今回の会議では全員の意見が一致した」とし、世界的なユニークな研究室としての活用を進めていく方向性を示した。
そしてNASA長官のBolden氏は、米国政府の動きについて、「予算に関しては、現政権がISSを継続していくことをコミットしている」と説明。ISSで得た成果を国家として最大限に活用することで、国際貢献につなげていきたいという姿勢を見せた。
また、火星探査などにも触れ、ISSを試験場として活用するほか、将来のアイデアの検討の場として活用していきたいとした。
ISSは5機関を中心に世界15カ国が参加する国際協力プロジェクトだが、得られた実験データの活用などについては80カ国が携わっているという。これらの成果は人種、国籍関係なく、またどの国が建造した実験棟であっても国境を意識することなく、クルー全員がそれぞれの役割として行った研究によるもの。こうした協力体制について5機関長はいずれも、「クルー全員があらゆる棟を行き来し、使用できることは非常にすばらしい」としており、今後もISSを閉鎖的なものとせず、参加を希望するものを拒む理由はないとしている。
特にDordain氏は、「宇宙はグローバルな努力が求められる場所で、最善の形での活用を考えれば、今までとは異なったパートナーから良いアイデアが出てくる可能性もある。予算や人間的、人種的関係などでそうしたすばらしいアイデアをさえぎってはいけない」と複数の国家が加盟するESAとしての立場を披露したほか、Bolden氏も、有人開発に関与していない国や宇宙開発をしていないが、熱意がある国なども交えたパートナーシップの拡大を目指していくべきで、そうした国々にもアプローチし、参加者となってもらいたいと、これまでなかなかそういった分野に関与したくても参加できなかった国にも広く参加を促していきたいとした。