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つんく感動の再出発劇に見え隠れする大物議員の影
咽頭がんの治療のため、声帯を全摘出したことを公表した「シャ乱Q」のボーカルで、音楽プロデューサーのつんく♂氏(46)。4月4日、母校である近畿大学の入学式で明らかとなった勇気ある決断に、各界から称賛と激励の声が相次いでいる。
ミリオンセラーを連発し、一世を風靡したアイドルグループ、モーニング娘。を世に送り出した希代のヒットメーカーの苦難と再起。
マスコミも、こぞってこの衝撃的なニュースを取り上げるなか、フライデー4月24日号(講談社)も、「たった一人の決断秘話」とのタイトルで詳報した。
同誌によると、つんく氏と「10年来の友人」という松田公太参院議員が本人から、声帯摘出の事実を公表前に打ち明けられていたという。
●近畿大学の巧妙なPR活動
つんく氏はその場で、ホワイトボードとスマートフォンを使って「これからプロデュース業をさらに頑張りたい」「色んなことにチャレンジしたい」と今後の取り組みへの意欲を“語って”いたという。
歌手の命ともいえる声を捨て、生きる道を選んだつんく氏は、自らの身を持って同じ病気に苦しむ人や苦境に立たされた人に勇気を与えている。
ただ、そんなつんく氏の再出発を複雑な気持ちで見つめる人もいる。
「つんくさんには『母校のために』という純粋な気持ちがあったのでしょうが、違和感は拭えなかった。マスコミを呼び込んであんなに大々的にやる必要があったのか」(メディア関係者)
こうした疑問を抱かせる背景には、つんく氏の重大発表を“プロデュース”した近畿大学の過去の実績も関係している。
同大学には、これまでにも巧みな広報戦略によって知名度を上げてきた経緯があるのだ。
「近大といえば、何よりも有名なのがクロマグロの養殖でしょう。大学の水産研究所が2002年に完全養殖を成功させ、『近大マグロ』として大々的にメディアで売り出した。関連会社を通じて百貨店や飲食店で成魚を販売したほか、カップ麺などの関連商品まで作った。2013年には専門料理店も開店させるなど、一大事業に発展させた」(大学関係者)
2012年には、卒業生である元プロボクサーでタレントの赤井英和氏(55)をボクシング部の総監督に迎え、テレビ番組に密着取材させたりもしている。
●4代目理事長に就任
次から次へとメディア受けするネタを生み出すプロデュース力には恐れ入るが、そのウラには仕掛け人の存在も見え隠れしている。
「あまり知られていませんが、2013年まで理事長を務めていたのが世耕弘成参院議員(52)なんです。安倍政権で官房副長官を務める世耕氏は、初代理事長の孫で、2011年に父親である先代理事長の死後、4代目理事長に就任した。メディア露出が一気に増えたのも、世耕氏の影響が少なくないはずです」(先のメディア関係者)
世耕氏は、自民党マルチメディア局長を務めたほか、2005年の衆院選では広報戦略・IT戦略を担当。第1次安倍内閣で首相補佐官となって以降は、安倍首相のブレーンとして活躍した。
いわば、メディア対策のプロともいえる存在で、
「その辣腕ぶりから、一部で『自民党のゲッベルス』との異名を取るほど」(永田町関係者)
なのだという。
今回のつんく氏による入学式プロデュースに世耕氏が関わっていたのかは不明だ。ただ、メディアへの露出具合を見てみても、大学側が甘受した広告効果が桁外れなものになることだけは間違いないようだ。
(取材・文/浅間三蔵)