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下戸のはずが…50歳過ぎて水島裕さんに訪れた「酒の転機」

 下戸のはずが…50歳過ぎて水島裕さんに訪れた「酒の転機」

 中高年の楽しみのひとつは例えば、若い頃にできなかったことや、頓挫したことに手を伸ばせることか。声優として知られ、タレントとしても活躍中の水島裕さん(59)にとって、それは酒。50の手習いではないが、下戸だと思っていたのに飲めることがわかり、酒席に顔を出す楽しみを知ったという。
 
  酒というと、思い出すのが学生時代(日本大学芸術学部写真学科)、工場のアルバイトでもらったお金で、友達の部屋で飲んだときのことです。ビールだったかな、うれしくてコップに口をつけたのに、途端に顔が火照って真っ赤っ赤になり、激しい動悸とともに世界が回ってリバースしてしまったのです。
 
  それからは何度試しても同じ。急にグルグル回ってしまう。海外に出かけた時はホテルのプールで卒倒し、妻を心配させたこともあった。もう飲むのはよそう、僕は体質的に飲めないんだって思っていました。
 
  だから、打ち上げとか酒席にもほとんど参加しないで通してきました。ウーロン茶で付き合う人もいますが、何だか場をしらけさせてしまうような気がして遠慮しました。
 
  ただ、かといって酒が嫌いかというと、そうでもないんですね。むしろ逆でした。
 
 ■恐る恐るハイボールを口にしてみると…
 
  ずいぶん昔、テレビ放送される洋画の吹き替えのために、スタジオに入っていたときです。収録の合間に、先輩が後ろポケットからウイスキーを取り出し、スルメをあぶりながら、チビリチビリとやったりするのをとてもうまそうと思って見てました。
 
  かつての人気クイズ番組「連想ゲーム」(NHK)で、ご一緒した同い年の新沼謙治さんは寿司屋のカウンターで刺し身に箸を伸ばしながら、「うめえなあ、本当にうめえなあ」って、お銚子を傾けていた。
 
  檀ふみさんはかわいかったですよ。お酒で頬にほんのりと紅がさし、少女のような顔になったりして。
 
  番組の終わりに誘われて、たまたまカラオケに行ったこともあるけど、十八番の「瀬戸の花嫁」を歌うと、ああ、いいなあ、僕も飲めたらなあって、憧れに近いものを抱いたものです。
 
  ある時、転機が訪れました。大衆酒場のブームもあって、ハイボールを試す機会があったのです。ホントに恐る恐る、少しずつ口に含んでみました。そうしたら不思議なことに火照りも動悸もない。炭酸の泡のプチプチに打たれながら初めて酔い心地というものを知りました。
 
  ゆっくり飲めば大丈夫と思ったときのうれしさといったら……。…

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