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街歩きの達人 なぎら健壱に聞いた「いい酒場との出合い方」
歌手デビュー45周年。ウイットに富んだ歌詞のシンガー・ソングライターとして精力的にライブに取り組む一方、街歩きの達人、下町酒場の名ナビゲーターとしても、つとに知られる粋人。エッセーや写真集も数多く発表している、なぎら健壱さん(65)に話を聞いた。
■店のオヤジ、女将はぶっきらぼうがいい
いい酒場、お気に入りの居酒屋にどうやって出合うか?それは飲んべえの永遠のテーマでね、これには方程式も定理もないんです。酒歴40年をはるかに越え、毎日のようにあちらこちらで飲んでるアタシ自身が、まだ確信を持てなくてさまよい歩いてるんですから、まあ間違いはない。
それは“奥が深い”なんて、軽いひと言で言い逃れできないくらい奥が深い(笑い)。 第一、アタシがすっごく惚れ込んだ酒場があったとしてもね、それはアタシの感性にストライクだということであって、じゃあ、他の方が行ってみて「ああよかった」って思ってもらえるか? ね?、正直な話、100%、そうとは言えないでしょ。
酒場、居酒屋、まあバーでもいいけど、「いい店」のポイントはまず店のたたずまいですね。入り口や看板、暖簾に風情があって、妙な気取りを感じさせないこと。内装もしかりでね。アタシはくつろげる雰囲気がないとダメ。入って、ホッとできる空気感は不可欠ですよ。
で、次がオヤジ、女将の人柄。ブッキラボウでなきゃね。特別、愛想がよくなくてもいいし、おしゃべりが下手でもいいんです。噺家じゃないんだから。
でも、心の温かさってのは店の雰囲気にも料理にも出るもんでね。お客も、オヤジや女将に似た人が不思議と集まってくるんです。それがひいては居心地のよさになるわけですよ。もちろん、料理がおいしくなくっちゃね。うまい酒にはいい肴。飲んべえにとっちゃ、これはすごく大事。それでいて、安いに越したことはないけど、お値段はそこそこ。
アタシは、まあ、めったに行かないけど、銀座のバーでプレミアムウイスキーがワンショット2万円だとしても、決して高いとは思いません。下町じゃなく、銀座なんですから。場所、場所によって高かったり安かったりは、これまた当たり前なんです。
■とっておきの店を紹介しなくちゃならない自己矛盾
こんなふうに考えると3拍子4拍子、ぜーんぶ揃ってる店なんてのはそうそうあるもんじゃない。あったらナイショにしておくか、ごくごく親しい仲間にしか教えたくないのが飲んべえの心境なんだけど、アタシの場合、仕事柄、そうはいきません。…とっておきの店でも時には雑誌やテレビで紹介しなくちゃならないってのが、大いなる自己矛盾でね。
お客さんが増えることによって、お店の雰囲気がガラッと変わっちゃった例はたーくさん見てきてるし、お店が繁盛して余裕ができたからって内外装をリフォームすると、これまたイメージが変わってね。よくなればいいけど、なぜか真逆になっちゃったりするから、ツライところでもあるんです。
サラリーマンは出張が少なからずあるでしょ。アタシもライブやテレビのロケで地方へ行くことが多いんですが、旅先で、お気に入りの酒場を見つけるには地元の飲んべえに自分の希望、願望、理想の思いの丈を全部話して、教えてもらうのに限ります。それでも、100%願い通りの店に巡り合える可能性は、そんなに高くない。
だからアタシ、こよいも街をさまようわけです。いい酒場、いい出合いを求めてね。