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中継ぎ不安の巨人と楽天 慣れない配置転換で選手がパンク寸前
近代野球において、救援投手はある意味で先発投手よりも重要とされている。誰をそこに抜てきするか、その人材配置を間違えれば、チームは崩壊しかねない。
「後ろの3イニングを重視している。裕樹にはそこで競争してほしい」
東北楽天ゴールデンイーグルスの大久保博元監督(47)が松井裕樹(19)のリリーフ転向を明言したのはキャンプ中盤の2月12日。松井は同22日の対日本ハム戦で中継ぎ登板し、2回無失点に抑えて指揮官の期待に応えた。しかし、有望左腕のリリーバー転向に批判的な声もないわけではない。
「松井は大先輩の田中将大、則本昴大と自主トレを行なうなど、先発へのこだわりが強い。リリーフで使うのであれば、もっと早く本人に伝えてやれば…」(プロ野球解説者)
自主トレで積み上げてきたものが、監督の一言で全て無駄になったというわけだ。
だが、大久保監督が救援陣を1枚でも厚くしたいという気持ちも分からなくない。V9以来となる4連覇を目指す巨人の原辰徳監督(56)も、先発ローテーションの澤村拓一(26)をリリーフへ転向させたのは試合終盤を重要視しているからだが、こんな声も聞かれた。
「澤村は新球のチェンジアップの習得をキャンプのテーマの1つに挙げていました」(同)
松井が救援転向を伝えられたころ、澤村はブルペンで悪戦苦闘していた。本人の要望で投球練習中に秦真司バッテリーコーチ(53)が左右の打席に交互に立つ。しかし、チェンジアップは捕手のはるか手前でバウンドし、バックネットへ…。チェンジアップはブルペン捕手が構えたところへ一球たりとも行かなかった。
「あれは使えない」
偵察中の他球団スコアラーも思わず、失笑していたほどだ。
「昨秋のWBCで、招集された他球団投手が『澤村のとなりで投げたくない』というほどでした。1イニングなら、ストレート勝負でいいのでは?」(球界関係者)
澤村は紅白戦で好投したが、それはストレート中心の投球スタイルに徹したため。とはいえ、シーズンは長い。澤村の剛球がお疲れモードに入った際、チェンジアップによる緩急の配球も必要だろう。
「チェンジアップを習得できない最大の原因は、力の入れすぎ。原監督がチェンジアップ習得を命じた最大の目的は脱力する感覚を体得させるためですが、このまま、チェンジアップにこだわりすぎると、投球フォームまで崩しそう」(スポーツ紙記者)
松井は「大事な場面を任せてもらえるのだから…」と前向きな言い方をしていたが、表情はいま一つパッとしない。周囲は「将来を見据え、先発を争わせ、ダメなら二軍で」と、大久保流の育成に批判的な意見もある。力でねじ伏せることしかできない澤村もそうだが、本来は火消し役であるはずのリリーバーなのに、慣れない役割によってチーム崩壊の火薬庫になってしまうかもしれない。