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悪質クレーマーが生まれる原因は、クレームを受ける側の「対応の悪さ」
日々、客のさまざまな苦情や要求に神経をすりへらす現場の人々。客商売では避けて通れない「クレーム」とうまく付き合うには? 苦情・クレーム対応アドバイザーの関根眞一氏に聞いた。
「『クレーム』と一口に言っても、“正しい苦情”と“いちゃもん”は全く別物です。ほとんどの場合、お客さまが苦情を言ってくるのは本当に困っているから。その中には2割ほど“勘違い”もありますが、あとの8割は正しい苦情です」
そのわりには「また、いちゃもんか」と感じるケースも多い。
「そう捉えてしまうのは、対応能力が低いからでは? 大切なのは、お客さまの話から原因と事実を的確に理解すること。豊富な知識や経験が必須です。受け手が不勉強で保身に走るなら、お客さまの心理を察することは難しいでしょう」
確かに、自分が客側で文句を言ったとき、相手にわかってもらえずイラッとさせられることも。
「実際問題、悪質なクレーマーなんてごく一握り。多くの場合、受ける側の対応の悪さがお客さまをクレーマーにしてしまう。『おっしゃるとおりです』と受けるべきを、苦情を避けようと突っぱね、相手をどんどん怒らす。わかってくれないから、お客さまは大声を出し、エスカレートするんです」
では、苦情を受けたときの正しい対応法とは?
「まずは低姿勢で謝り、とにかく丁寧に対応すること。お客さまの言い分をじっくり聞いたうえで、もし間違った指摘があれば正しい説明に入ります。一方、無理な要求には応じず、毅然とした態度で臨むことも大切ですね」
対応する人の能力次第では、収まるものも収まらなくなることも。
「うまくまとめたつもりで、実は失敗しているケースは多い。つまり、お許しをいただいたのではなく、呆れて二度と来店しないという最悪の結果。そもそも苦情対応はお客さまを離さないためのもの。誠意ある対応は顧客とより良い関係を築くきっかけにもなります。少子高齢化で人口が減り、全企業が縮小していく時代、今いるお客さまを絶対に離しちゃいけません」
苦情対応で百戦錬磨のプロの、徹底的なお客さま目線に学ぶべし。
【関根眞一氏】
西武百貨店で1300件以上のクレームを処理。メデュケーション(株)代表として企業などのクレーム処理顧問に。著書に『苦情・クレーム処理は楽しい!』ほか
取材・文/小山田裕哉 加藤カジカ 清水芽々 鈴木靖子 田山奈津子 藤村はるな 小原美千代(本誌) イラスト/花小金井正幸
― 店員が告白した[許せる/許せない]クレームの境界線【9】 ―