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パンの図鑑
広義では「食事パン」の総称
前回は、実はいろんな種類がある「フランスパン」について紹介したが、今回は「食パン」を取り上げる。食パンは日本だけのものではなく、フランスやアメリカにもあるのだ。
各国の食パンを紹介する前に、食パンという言葉について知っておこう。食パンという言葉はもともと、主食としての「食事パン」を総称する日本の造語である。日本で食パンというと型にフタをして角形に焼き上げた「角食パン」を指すことが多いが、フタをせずに焼く山形のパンは「山形食パン」と呼ぶ。山形食パンも、食事パンという意味では食パンなのである。
こちらは日本の「角食パン」
日本の食パンの原型はアメリカそして、日本の食パンの原型ともいわれるのがアメリカの「ホワイトブレッド」。型にフタをして焼くオーソドックスな角形の食パンである。
「ホワイトブレッド」は日本の食パンの原型といわれている
フランスの食パンは「パン・ド・ミ」。20世紀初頭にイギリスから伝わったといわれており、イギリスパンに配合が類似していて、ポピュラーなフランスパンと比べると、甘みがありしっとりとした口当たりが楽しめる。パン・ド・ミの「ミ」とは「中身」のことで、バゲットのように皮のパリパリ感を楽しむパンに対し、やわらかな中身を楽しむという意味から、こう名付けられた。写真は山形だが、実は、角形で日本の角食パンにそっくりなタイプもある。
フランスの食パン「パン・ド・ミ」
ちなみに。山形のイギリスパンの起源は、コロンブスがアメリカ大陸を発見した時代に、持ち運びやすく一度にたくさんの人に分けられるようにと、開拓者のために作られたパンだといわれている。
「イギリスパン」
「パンの図鑑」・著者: 社団法人日本パン技術研究所 所長 井上好文・定価: 1,659円
・A5判176ページ
・発売日: 2011年04月27日
世界中の食卓で愛されているパンのうち、比較的日本でも手に入れやすい113種をフルカラーの写真と詳しい解説文で紹介。材料、発酵・成形・焼成の方法、さらにはおいしい食べ方につくり方まで、奥深いパンの世界を案内する。
また、パンの材料、道具の紹介や、基本のパン作りレシピをはじめ、パン屋さんでどのようにパンがつくられているかを写真で解説。さらに、パンを使ったおしゃれでおいしいアレンジレシピ、パンと飲み物のおいしい関係など、パンをもっと楽しみ味わい尽くすためのアイデアも提案している。