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ランキング番組の常識を変えた「マツコの知らない世界」
「こんなスゴイものがあったのか!」そんな未知との遭遇は、意外と身近なところに転がっていたりする。
食品から日用品、果ては最先端のプリクラ機まで、私たちの“日常”に属する物事のディープな側面にスポットを当てるバラエティー番組『マツコの知らない世界』(TBS系列)。2014年秋に深夜枠からゴールデンタイムに進出、15年2月17日放送のスペシャル版では、番組最高値14.5%の視聴率を記録。さらに同月には、日本の放送文化に貢献した優秀な番組・個人・団体に贈られるギャラクシー賞(テレビ部門で月間賞を受賞と乗りに乗っている。
番組の基本構成は、ある分野のマニアが、マツコ・デラックスに「こんな世界があるんですよ、すごいでしょ」とプレゼンする、というシンプルなもの。例えば食品などであれば、最初は私たちが普段スーパーなどでよく目にする「定番」を紹介し、そこから徐々にレア/高級な方面にシフトしていく。
まず、この流れがいい。マニアがプレゼンするのだから、最初からコアなものを出してきてもいいはずなのに、あえて視聴者の多くが親しみを持っているであろう“おなじみの商品”から入っていく。茹でガエル現象ではないが、これは最後まで興味を持続させるためのテクニックである。しかも、最初に王道/ベタから入ることで、後々登場するマニアックな品のスゴさも際立つという仕組みだ。
そして、特筆すべきは、やはりマツコ・デラックスの存在だろう。プレゼンする側は、マツコを唸らせることをその場での最大の目標とする。さまざまなオススメ品を繰り出し、「おいしい!」「すごい!」といった感嘆の言葉を引き出そうとする。
しかし、マツコは手放しでは褒めない。「正直ビミョー」「キライ」といったジャッジも普通にする。つまり、好みなども含めた「ホンネ」がこの場の判断基準となる。一方で、マツコはけっこう褒めもする。そして、一度「おいしい!」「すごい!」側に振れた時は、ものすごく無邪気な表情を見せる。このナチュラルな佇まいこそが、「判定者」として、視聴者の信頼を勝ち得ている要因だろう。
そういえば、『マツコの知らない世界』(が人気を得ていく一方で、急速に減少していったものがある。ランキング形式の番組である。近年のその代表格は、やはり「お試しかっ!」((テレビ朝日系列)ということになるだろうか。
「お試しかっ!」は、コンビニやファミレスなどの人気メニュー上位10品を予想し、完食するまで帰ることのできない「帰れま10」シリーズで人気を博したバラエティー番組である。…