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「真相」めぐり深まる亀裂=特別調査委いまだ活動できず―16日客船沈没1年・韓国
【ソウル時事】韓国・珍島沖で客船「セウォル号」が沈没し、304人が犠牲になった事故から16日で1年。遺族らは真相究明と責任追及の声を上げ続けているが、真相究明に当たる特別調査委員会はいまだに具体的活動に着手できていない。事故は時間がたつにつれ政争の具として扱われ、社会の亀裂は深まるばかりだ。
事故後、真っ先に逃げ出した船長や、船会社の「清海鎮海運」、救出失敗の責任を問われた海洋警察官らは司法の裁きを受けた。しかし、事故対応で大統領府や政府の指揮系統が機能していたのかなど、はっきりしていない部分も多い。
遺族らでつくる「4・16家族協議会」の愈敬根執行委員長(45)は14日、「裁判は、原因を一部の個人に転嫁する目的があったのではないか。沈没した原因も大事だが、なぜ救えなかったか、救助システムなど根本的な問題を明らかにする方が重要だ」と強調した。
しかし、昨年末に設置された特別調査委は、与野党や遺族らが推薦する17人の委員は決まったものの、実際に調査を担う事務局の陣容をめぐって委員と政府が対立。政府が3月27日に発表した施行令案では、事務局の規模が委員らの要望より小さい一方、官僚の比率が高かったためだ。
特別調査委は、政府が自らへの責任追及につながる活動に歯止めをかけ、調査を骨抜きにしようとしていると問題視し、2日、施行令撤回を求める決議を採択。ソウル中心部の光化門広場では同日、48人の遺族が頭を丸めて抗議した。
李錫兌委員長は「国民が疑惑を抱く部分は聖域なく調査する」と述べ、事故当日の朴槿恵大統領の動静も調査対象とする可能性を排除しなかった。一方で、具体的に何を調査するのかはあいまいで、裁判記録などを分析するだけで多くの時間が費やされるとみられている。また、与党推薦委員ら4人は撤回決議に反対しており、本格的な調査活動に入れば、内紛が生じる可能性もある。