＜ニカラグア殺人再審＞元社長の無罪認めず…２次請求を検討

　

　中米ニカラグアの最高裁は、同国で１９９７年に日本人男性（当時６９歳）を保険金目的で殺害したとして有罪になった東京都江東区の元会社社長、服部重次（じゅうじ）さん（６７）に対する再審で、無罪の主張を退ける判決を出した。服部さん側は、第２次再審請求のほか、米大陸の誤審被害者らを救済する米州人権委員会（米ワシントン）への申し立てを検討する。
　
　　服部さんの日本の弁護士が３０日、日本の外務省を介して昨年６月１２日付の判決文を入手した。ニカラグアの弁護士の不手際で、判決が出たことを知らされていなかった。
　
　　再審の焦点は、死亡男性の海外旅行傷害保険の受取人が服部さん側ではなく、男性の法定相続人であることを示す新証拠の保険契約証をどう評価するかだった。しかし判決は、保険金など犯行動機には触れなかった。ニカラグアの弁護士が保険契約証の内容について十分な主張をしなかったためとみられる。
　
　　判決は、ニカラグア人２人が真犯人などとする弁護士の主張について「証人が出廷していない」と採用せず、「禁錮１８年とした２０００年３月の地裁判決を見直さない」とした。
　
　　判決について服部さんは「私は保険金受取人にでっち上げられた。有罪になる証拠はない。終始一貫無罪を訴える」と語った。支援する吉峯啓晴弁護士は「保険金の受取人でなかった服部さんの無罪が認められないというのは、我が国では考えられない」と話した。
　
　　死亡した男性は服部さんの会社の現地責任者で、９７年４月２５日未明、ニカラグアの海岸で遺体が見つかった。現場に出張中だった服部さんは無罪を主張したが、０８年５月まで同国で服役。日本に強制送還され、０９年に再審請求した。【庭田学】