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卯名根口選手 岩手の誇りグラブに誓い
◇IL徳島に入団 NPB目指す
野球の独立リーグ・四国アイランドリーグplus(IL)の徳島インディゴソックスに今季、岩手県立宮古高野球部出身の投手、卯名根口(うなねぐち)東(あずま)選手(22)が入団した。実家のある同県山田町は、東日本大震災の津波などで800人以上の死者・行方不明者が出るなどの被害を受けた被災地。野球を続けるかどうか迷った時期もあったが、高校時代のチームメートからの励ましを胸に、NPB(日本プロフェッショナル野球組織)入りを目指す。(山上高弘)
卯名根口選手はエースで主将を務め甲子園を目指していたが、3年夏は岩手大会初戦で敗退。幼い頃から抱いていたNPB入りの夢を諦め切れず、卒業後は働きながら盛岡市の社会人野球チームでプレーすることにしていた。
大震災が起きたのは、卒業式を終えて10日後。社会人チームの会合に参加するため、バスに乗っている時だった。車内に鳴り響いた緊急地震速報。テレビでは、街が津波でのみ込まれる映像が流れた。家族は無事で、高台にあった自宅も被害はなかったが、自宅近くの遺体安置所となった体育館では、悲鳴を上げる遺族の姿を目にした。練習で走った海沿いの道はがれきで埋まり、津波で家が流された高校時代のチームメートもいた。震災後の約1か月間は、避難所などで救援物資の配給などのボランティアをした。
卒業した野球部員9人のうち、野球を続けるのは自分だけ。「街がこんな状態なのに野球をしていいのか」。辺りを見渡すたびに、自問自答を繰り返した。そんな時、思い悩む様子を察したチームメートから、言葉をかけられた。「俺たちに遠慮しないで、思い切り頑張ってこい」。新調した試合用グラブの内側に、みんなで考えた「9人の誇りとなれ」という言葉を刺しゅうした。
「野球で活躍している姿を、みんなに届けたい」
岩手県と東京都の社会人チームで計4年間プレー。そして、昨年、NPBに選手を毎年送り出すILのトライアウト(入団試験)を受け、合格した。練習生という立場だが、今年1月から徳島に加わり、支配下登録を目指す。
毎年、正月には帰省し、当時のチームメートで集まる。今年は卒業後、初めて9人全員がそろった。その場で「今年から独立リーグの徳島でプレーする」と告げると、「夢に向かって頑張っている姿を見ると、俺たちも励みになる。絶対プロにいけよ」と背中を押してもらった。
「みんなの気持ちが詰まったグラブで、NPB入りの夢を必ずつかむ」。思いを白球に込め、挑戦を続ける。
◇復興募金 選手ら呼びかけ
東日本大震災の発生から4年を迎えた11日、徳島インディゴソックスは藍住町と北島町の商業施設で、東日本大震災の被災地復興に向けた募金活動をした。
ともに被災地・岩手県出身の卯名根口東、高橋祥両選手ら計約30人が参加。選手は募金箱を手に、買い物客に「一日も早い復興のため、協力をお願いします」などと呼びかけ、午後2時46分には整列し、黙とうをして犠牲者の冥福を祈った。
卯名根口選手は「野球が続けられる感謝の気持ちを持って募金に臨んだ。遠く離れた徳島でも募金してくれる人が大勢いて、人の温かさを感じた」と言い、井生広大主将は「被災地には、まだまだ支援の手が必要だと感じる。微力だが、復興の力になれば」と話した。
集まった浄財は近く、日本赤十字社徳島県支部を通して、被災地に寄付される。