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復興願う歌声 宮城で心一つ 西宮の合唱団共演へ

 復興願う歌声 宮城で心一つ 西宮の合唱団共演へ

 東日本大震災の被災地の宮城県名取市で16日、西宮市のグループが出演する復興コンサートが開かれる。グループには阪神大震災を経験した人も多く、東日本の被災者とともに復興への思いを歌声で届ける。関係者は「経験者同士で心を通わせ、心が豊かになる一時を過ごしたい」と練習に励んでいる。(河部啓介)

  県内から出演するのは、西宮市で旧文部省唱歌を学ぶ「唱歌の学校」心のうた合唱団の50~80歳代のメンバー約30人。

  同グループは元大阪フィルハーモニー交響楽団補助指揮者の泉庄右衛門さん(73)と、妻で声楽家の規子さん(57)が阪神大震災後の1996年に開校。自らも被災した泉さんが、西宮市の規子さんの実家倉庫跡にスタジオを作り、震災で傷ついた人たちの心を歌の力で癒やしてきた。今回、時間がたった今だからこそ心の支援が必要だとして、別の団体に働きかけて実現した。

  コンサートは、名取市文化会館中ホールで開催。同グループが「早春賦」など、宮城県岩沼市で震災直後の5月に結成した合唱団「岩沼童謡クラブ」が「春がきた」などで歌声を響かせる。その後、家族を津波で亡くした地元の被災者らがピアノの伴奏で「うぐいす」「私のカモメ」を披露。フィナーレは「ふるさと」「上を向いて歩こう」などを全員で歌う。

  同グループのメンバーで、西宮市の自宅内が壊れるなどした野田佳子さん(83)は「歌っている時だけでも楽しい思いに浸ってもらえたら」と願う。また、被災後、出向先の会社で住宅相談に奔走した宝塚市の桜井寿郎さん(80)は「震災4年後の自分がどうだったかを思い起こしながら、頑張ってほしいとの思いを伝えたい」と力を込める。

  メンバーは震災で被害を受けた場所も見て回る予定。大阪府吹田市の田中照子さん(77)は阪神大震災時、芦屋市の友人からかけられた「被災地に足を運び、見ていてほしい」という言葉が忘れられないといい、「東北のことも忘れず見守り続けたい」と言う。

  泉さんは「音楽の楽しさを精いっぱい伝え、みなさんが明るい表情を見せてくれれば」と話している。

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