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「死ぬのは嫌だと泣いていた」ネットでつなぐ戦争の記憶〈AERA〉
戦争体験をどう後世に伝えるか。戦後70年のいま、ネットを使った新たな動きが出ている。担い手は30、40代だ。
「戦争の話はもちろん、何げない日常の話、リアルな1945年前後の話を、全国各地のおじいちゃん、おばあちゃんに聞きたい。聞きたくても聞けなくなる日が来る前に」
こんな言葉で呼びかけるウェブサイト「1945(いちきゅうよんご)」が2月末、正式オープンした。誰もがいつでも戦争体験者の声を視聴できるよう、動画でインタビューを公開していくプロジェクトだ。
まず目を引くのがサイトのスタイリッシュでしゃれたデザイン。ロゴもシンプルで特徴的だ。活動資金のためにオリジナルデザインのトートバッグなどもサイトで販売している。
“いまどき”の感覚を取り入れ、企画、制作、運営するのは、広告会社を営む両角慶太さん(40)。仕事柄、「多くの人に見てもらいたい」とデザインにこだわった。アーティストの小澤一航さん(37)や長場雄さん(39)がデザインを担当、ユニットMomo−Seiが音楽を担当する。メッセージ性を打ち出していないのもこのサイトの特徴だ。
「あくまでも“フラット”な姿勢で、事実としての証言をアーカイブし、そこから何をくみ取るかは視聴者に委ねたい。いま、ネットでは中身も見ないで批判されがち。それは避けたい」
そう話す両角さんは平和運動に携わったことはない。だが、昨春、集団的自衛権をめぐり「再び戦争が起こるのでは」という声が高まるなか、自分の戦争イメージが曖昧なことに気づいた。
「戦争中、そして戦後、草の根の一人ひとりがどう生きたのか、その声を聞いてみたい」
つてを頼りにこれまで6人の証言を掲載した。プロの取材者はおらず、両角さん自らカメラを携え、取材にあたっている。証言者たちは淡々と、しかし驚くほど鮮明、かつ具体的に、戦前から敗戦、戦後の日々を語る。草の根の貴重な証言だ。
証言者の一人、木村禮子(れいこ)さん(86)は小澤さんの中学時代の恩師の元同僚。神奈川・横須賀に生まれ、海軍兵士に囲まれて育った。出征前、兵士たちが「死ぬのは嫌だ」と陰では泣いていたのが忘れられない。兄も戦死した。証言した理由をこう語る。
「若い人たちが『引き揚げって何?』と話しているのを聞き、大変な時代になったと思った」
運営資金はネットのクラウドファンディングで募集。ジャーナリストの津田大介さんもツイッターで支援を呼びかけた。
※AERA 2015年4月13日号より抜粋