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メディアを賑わす「戦後初の国産戦闘機開発」、軍事の専門家はどう見ているか
条件付きとはいえ兵器の輸出が可能になるなど、日本の兵器開発を巡る環境も大きく変わりつつある昨今。
そんな中、「戦後初となる国産戦闘機」を巡る記事がメディアを賑わせている。
●戦後初めて開発した国産戦闘機(ハフィントン・ポスト日本版)http://www.huffingtonpost.jp/2015/03/25/japan-stealth_n_6936922.html?ncid=tweetlnkjphpmg00000001
●次期戦闘機エンジン、民間機用に開発応用も 米国製上回る技術、燃費効率が強み(サンケイビズ)http://www.sankeibiz.jp/business/news/150317/bsc1503170500001-n1.htm
こうしたニュースを受けて、意気軒昂と日本の技術を手放しに賞賛する声も聞かれるが、果たして軍事に詳しい人物から見るとどのような評価になっているのか?
軍事アナリストの小泉悠氏はこう語る。
「そもそもこれらのニュースで”心神”と呼ばれているATD-Xは技術実証機です。実用戦闘機を開発できるかどうか、その技術を実証するための機体がATD-Xということ」
つまり、ようやく実証実験用の機体が試験的に飛行するだけで、実際に実用戦闘機を開発できるか否かはこれから決まってくることなのだ。
「第5世代戦闘機用エンジンの開発は、長年戦闘機用エンジンの開発を行ってきたロシアでさえ苦労しており、そう簡単なものではありません。HSEもようやく推力5t級の試作機にメドがついた段階ですが、アメリカのF-22やロシアのPAK-FA並みの大型戦闘機を作るなら推力20t程度の性能が必要となり、まだ開発作業には時間が掛かると思われます。小さいエンジンはスケール効果で推力重量比が高くなる傾向があるため、現在の5t級でアメリカ製を凌ぐ能力が出ていたとしても、最終的には機体重量との比が重要になるので、どのような機体に載せるか決まっていない現状ではなんとも言えないというのが正直なところです。また、ステルス性能についても日本はフランスの電波暗室を借りて実験を行っている状態であり、諸外国に比べて特別先進的ということはありません」
ただ、だからといってATD-Xによる実験からフィードバックされる技術を過小評価できるものでもない。
「すでに第5世代戦闘機F-35の導入が決定され、周辺諸国(中国、ロシア、韓国)でも第5世代戦闘機が遠からず就役すると見られる中で、日本がこれから第5世代戦闘機を独自開発する意義は薄い。…