＜渋谷区宮下公園＞再開発ホテル構想に向けた議案継続審査に

　

　東京都渋谷区がＪＲ渋谷駅前の区立宮下公園を共同で整備するため、三井不動産と基本協定を締結する議案などについて、同区議会都市環境委員会は２６日、全会一致で継続審査と決めた。４月の統一地方選前の審議は３１日の本会議で終わるため、２０１９年のラグビーＷ杯に間に合わせて公園内にホテルを設ける、という構想の実現は厳しい状況となった。
　
　　区は老朽化した宮下公園の整備に民間の資金やノウハウを活用する官民パートナーシップ（ＰＰＰ）の手法を導入する方針を示し、昨年夏に提案を公募。今年２月、応募があった２点の中から同社の提案を選んだ。
　
　　提案では、約１万平方メートルの公園を同社が３０年間の定期借地とし、土地全体に飲食店などが入る３階建て商業施設を建設。屋上部分を公園に整備し、敷地北端に１７階建てホテルを建てる。区は年間約６億円の地代収入も見込めるとして、４月中に同社と基本協定を結ぶ議案などを開会中の定例区議会に提出した。
　
　　しかし、都市計画法は、公園内の建物を「地上２階以下、地階なし」と制約しているため、委員が実現の可能性を追及。区は「観光資源や大災害時の帰宅困難者対策としてホテルは欲しい。関係機関と速やかに協議し、合法的にできるようにしたい」との答弁を繰り返し、委員から「あいまいだ」など批判や疑問の声が出ていた。
　
　　継続審査について、斎藤竜一委員（自民）は「拙速で審議も不十分。公園整備が必要なことでは全委員が一致しており、区が４月以降に新たな提案をし直せる道を残した」と説明した。区の黒柳貴史土木清掃部長は「否決されたわけではない。国などに問い合わせして問題をクリアし、できるだけ早く改めて審議をお願いしたい」と話した。【近藤浩之】