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ムスリム市場を狙え、ハラール・ブーム
イスラムを国教とするマレーシアや約2億人のイスラム教徒(ムスリム)人口を抱えるインドネシアからの観光客が増加している。日本政府観光局によると、2014年のマレーシアからの訪日者数は前年度比41.4%増の24万9521人。インドネシアからは16.0%増の15万8739人。
東京五輪を控え、これら東南アジアの国だけではなく、広くイスラム世界からの観光客増加が見込まれている。ただ、ここでクリアしなければならないのが、ムスリムが安心して滞在できる環境整備だ。そのうち、礼拝室の設置と並んで欠かせないのが、イスラムの教えに則って加工・調理された「ハラール食品」を提供する体制だ。国連世界観光機関の調査でも、ムスリムが旅行時に最も重視するのがハラール食であることが示されている。
こうした中で関西国際空港がハラール認証レストランをスタートしたのに続いて、昨年6月には成田空港でもハラール認証レストランがオープンした。さらに、全国の観光地でハラールの準備が加速している。
芦ノ湖で遊覧船やレストランを運営する伊豆箱根鉄道は、1月から十国峠レストハウスでハラール食の提供を開始している。同社はまた、インドネシアなどからの留学生を招き、駒ヶ岳や芦ノ湖などをめぐるモニターツアーを主催し、ハラールの和食膳を提供してPRしている。1月にはまた、岡山県の和菓子メーカー廣榮堂が、主力商品のきびだんごでハラール認証を取得した。
政府の地方創生モデル事業として「ハラール促進区」の認定を受けた熊本県人吉市は、食肉加工業者を市内に誘致し、ハラールに対応した大型調理施設「セントラルキッチン」の整備を計画。球磨川下りとハラール食品をセットにしたハラールツーリズムの開発も検討している。
3月には、東京商工会議所主催のムスリム体験ツアーが都内で開かれた。飲食や観光、小売業関係者約30人が参加し、浅草のハラール対応店「成田屋」で、ハラール対応の和食弁当を試食したという。東京五輪を控え、ますますハラール食対応の動きが広がってきそうだ。(編集担当:久保田雄城)