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最強の問題解決手法は、「問題を問題視しない」こと
「問題解決」という言葉がすっかりビジネスの世界に浸透していますが、私たちの日常においても多くの問題が起こっています。そのとき、どう対応するか――つまり、どう問題解決を図るかで私たちの人生は大きく変わります。
例えば、「朝起きて歯磨きをしようとしたら、歯磨き粉がなかった」という場合、どんな方法で解決するか。「塩で磨く」「急いでコンビニに買いに行く」「会社に行く途中で買ってトイレで磨く」「ガムで代用する」。あるいは「歯磨きしないで会社に行く」という選択肢もあるでしょう。
あるいは、「朝一番からクライアントの会社でプレゼンがある。しかしクライアント先に着いたら資料を忘れていた」という場合ではどうでしょうか。
「会社に電話して誰か別の人に持ってきてもらう」「開始時間を遅らせてもらい取りに戻る」「覚えている情報のみでプレゼンする」「日を改めてもらう」。このように、複数の解決法が考えられます。
こうした問題を未然に防いだり早期に解決したりできれば、心の安定を保てます。損することを防ぎ利益を得るチャンスとなります。そう考えると、問題解決力をつけることは、より望ましい人生につながる、と言えます。
つまり「問題解決力」とは、ビジネスだけでなく人生全体においても「より幸せになるための思考と行動」と言えるでしょう。
そんな問題解決のアプローチは、一般的に3つのパターンがあります。
1. 発生する問題解決
2. 発見する問題解決
3. 創造する問題解決
1つめの「発生する問題解決」は、起こった問題を解決する、というものです。一般的な「問題解決」とは、これをイメージする人が多いでしょう。病気になったら医者にかかり治療してもらう、というパターンです。とはいえこれは、いわばトラブル対応の対症療法であり、場当たり的と言い換えることもできます。
2つめの「発見する問題解決」とは、問題の芽を見つけ、その問題が表面化しないように事前策を講じることです。問題が問題としてはっきりと表れる前に手を打てれば、問題にならないので問題解決は不要です。健康に気をつけ、医者にかからずに済むようにしておく、というものです。
3つめの「創造する問題解決」とは、自分で問題を探して取り組むことです。誰から言われるわけでもなく、自分の弱点を自分で特定し克服する、あるいは自分の長所を見極めて伸ばす、といった行動です。運動不足という自分の課題を設定し、プログラムを作って運動する、というようなものです。…●問題を“問題視”しない
先の3つが一般的な問題解決の考え方ですが、今回は第4のアプローチを紹介したいと思います。
非常に単純ですが「問題を問題だと認識しない」というものです。他人が「それは問題だ」と言っても、自分が問題視しなければ解決する必要がなくなります。
例えば「自分はぽっちゃり型で、健康診断を受けたらメタボ認定された」という場合。日本の医療の常識から考えると、ダイエットしたほうが良い、となるでしょう。
しかし「ぽっちゃりタイプのほうが長生きする」というデータがあります。コレステロールが悪いというのは間違っているという説もあります。また、ちょっと太った人を好む人もいたりするわけです。
そうやって自らの頭で考え、自分の中に合理的な理由があれば、「ぽっちゃり」を気にする必要はない、という判断になることがあります。その瞬間、「メタボ」という問題は問題でなくなり、問題解決も不要となります。
つまり、他人が提示した問題を自分で考えずして「解決しなきゃいけない」と思い込まない、ということです。自分が本質的に重要に感じられないことは、他人がどう言おうと、できる限り無視するということです。
社会の幸福とは、結局は社会の構成員である私たち1人ひとりが幸福になることで成り立ちます。だから、まずはあなたやあなたの家族が幸福になるために、乗り越えるべき問題にこそ集中するほうが、建設的で合理的ではないでしょうか。
●捨てる「習慣」 その7
・「問題解決思考」を捨てられない人:やらなきゃいけない問題が増える
・「問題解決思考」を捨てられた人:本当に大切な問題の解決に集中できる
[午堂登紀雄,Business Media 誠]
(本記事は、午堂登紀雄著、書籍『1つずつ自分を変えていく 捨てるべき40の「悪い」習慣』(日本実業出版社刊)から一部抜粋、編集しています)