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進化するアギーレJ、監督のトーナメント戦での戦い方の引き出しは…
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アジアカップのグループステージ3戦の戦いを振り返った時、日本代表はアルベルト・ザッケローニ前監督の時代に比べて進化している姿を見せていると言えるのだろうか。
今ならば、十分にイエスと言える。
試合運びの点においては格段の進歩が見られる。4年前のアジアカップでは、決勝までの6試合のうち、3試合で相手に先制され、同点に追いつかれた場面があったのが2試合。試合終盤のゴールで同点に追いついたり逆転して、最後は優勝した。ところが今回は相手が違うとはいえ、グループステージ3試合ではすべて先制点を挙げ、しかも失点はしていない。
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追いつき、追いつかれ、そして最後に勝利をつかみ取るという劇的な勝ち方が多かったザッケローニ監督時代とは違い、アギーレ監督は着実に勝利をものにしていく。先制して、相手の反撃をじっくり受け止め、相手が疲れたところでもう一度攻撃する。選手の守備に対する意識は向上しており、攻撃でもリスクヘッジしながら相手を追い詰めていく。
大きなサイドチェンジや、縦ヘの速くて強いパスなどがアギーレ監督が日本代表に新しく加えた要素だ。また4-2-3-1をアンカーのいる4-3-3に変え、自分たちがボールをキープしているときはアンカーを守備ラインに入れサイドバックを上げて変形することで、これまでなかなかうまくいかなかった3-4-3も機能するようになった。すでにシステムのバリエーションは3パターンつくれたのだ。
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また、選手の縦横の距離が整えられている。いつも同じ大きさの正方形に人を配置するという、練習での一貫した指導で、選手の配置のバランスが良くなった。中盤がアコーディオンのように伸び縮みしたり、前のめりになったりすることはない。FWとMFは自分たちの判断でポジションチェンジしていいという「自由」を与えられているが、それによって選手が作る網の目が崩れることもない。
八百長疑惑ばかりがクローズアップされているアギーレ監督だが、サッカーの幅や質という点においては、2014年8月11日の就任から半年も経たないうちに、日本代表に大きな進歩をもたらしつつあると言えるだろう。
もっとも、これがすべてアギーレ監督の功績とばかりは言えない。日本代表選手たちがヨーロッパのリーグでもまれた成果を代表チームに持ち寄った結果でもある。また、ザッケローニ監督が細かい戦術指導を繰り返し、チームとしての共通認識ができていたおかげでもある。アギーレ監督は前任者のベースをうまく発展させていると言った方がいいだろう。
ただし、大きなテストを繰り返していた9月、10月の後から本格的なチームづくりをして、ここまでの完成度にもっていったのはアギーレ監督の手柄だと言える。また、アジアカップの戦い方も、次第に完成度と調子を上げるように進めているのは、これまでワールドカップやコパアメリカのような国際的な大会に参加していた経験が生かされているのだろう。
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それでも不安材料は残る。
現在の先発組は、ほぼブラジル・ワールドカップの先発と重なっている。このまま現在の主力で試合を続けると、結局は4年歳を取ったメンバーが並ぶだけになってしまう。それだけに新規メンバーの発掘には力を入れ、実戦の経験を積ませたいところだろうが、グループステージの間はすべて同じ先発と、メンバーを固定しすぎた。
ここから決勝までの3試合は、これまでのリーグ戦と違ってノックアウト方式となる。アギーレ監督がトーナメント戦の戦い方にどんな引き出しを持っているか。選手起用、選手交代、戦術、采配に加えて選手のメンタルコントロールと、注目すべき点がたくさんそろっている。文/森雅史(Goal.com)
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