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力仕事の負担を減らす アクティブリンクのパワーアシストスーツ

力仕事の負担を減らす アクティブリンクのパワーアシストスーツ 

  作業支援向けにパワーアシストスーツの事業を展開しているのがアクティブリンクだ。同社はパナソニックの社内ベンチャー制度により2003年に創業。藤本弘道社長はパナソニック在籍時にモーター技術の開発に携わっており、電動自転車用モーターの開発を行う中で、その技術を用いてパワーアシストスーツを開発しようとしたことが、起業のきっかけとなった。

  同社がパワーアシストスーツを手掛けるのは高齢化社会を睨んでのもの。高齢化と共に生産年齢人口の減少が進むため、労働現場では軽労化、省人化が求められている。力の劣る人が力仕事にも従事できるように、同社は力の面でのバリアフリー、「パワーバリアレス社会」の実現を掲げる。そして、農業、物流、建築、土木、災害救助など体を酷使する現場に向けて、汎用パワーアシストスーツを展開する。

  起業の経緯にも関連するが、同社のパワーアシストスーツは電動アシスト自転車に近い原理で動作する。電動アシスト自転車は人がペダルを踏んだ力を感知して、その動きを補助するようにモーターが駆動する。同様に同社のパワーアシストスーツは、力覚センサで検出された体の動きに合わせてモーターを駆動させる。これにより、リアルなアシスト制御が可能だという。また、汎用性を重視し、スーツの身体拘束は足底や上体ベルトのみのラフな拘束に留め、装着時間は30秒以内となっている。

  同社は昨年、「アシストスーツAWN-02」を発表。AWN-02は重量物を持ち上げる際の腰部負担の軽減に特化し、モーターを左右の腰付近の装着する2個に限ったシンプルな構造となっている。アシスト力は15重量キログラムで、上半身への加重を15キログラム低減することになる。既に物流倉庫や農場での実証実験も進めており、15年度中の量産を予定している。

  AWN-02は腰部のみの補助だが、上半身や全身の補助を行うパワーアシストスーツの開発も進めており、16年以降、順次発表していく計画だ。

 (文=本誌/村田晋一郎)

  ロボット分野の「成功例」として近年注目を集めるのがサイバーダインだ。同社のロボットスーツ「HAL」は生体電位信号で動作し、人の動きをサポートする。現在は医療・福祉分野向けに展開しているが、その技術はまだまだ大きな可能性を秘めている。今回のオムロンとの事業提携により、技術の応用展開をさらに加速させていく。

下肢不自由者に希望を与え評価も高まる

  サイバーダインは2004年に筑波大学教授の山海嘉之氏が設立。山海氏が研究するサイバニクス技術を用いたロボットスーツ「HAL(ハル)」を開発・製品化している。山海氏は「科学技術は人の役に立ってこそ意味がある」と語る。HALはその想いを体現したものと言える。

  HALの動作原理は、人が動こうとする際に発する微弱な生体電位信号を読み取り、人の意志に応じた関節のパワーユニットを駆動させるもの。HALを装着することで、脚力が弱った人や下肢に障害を持った人の自立動作をアシストする。

  サイバーダインはまずは医療・福祉分野向けに下肢タイプの「HAL福祉用」を展開。08年に大和ハウス工業と販売代理店契約を締結し、09年より販売を開始した。医療・福祉施設において機能訓練のサポートツールとして活用され、歩くことを諦めていた人がHALによって歩く希望を見いだしている事例が報告されているという。

  この下肢タイプは14年11月に生活支援ロボットの安全性に関する唯一の国際規格「ISO 13482」に適合し認証を取得。また、EUでは医療機器に認証され、「HAL医療用」として、脊髄損傷、外傷性脳損傷、脳血管障害など、脳・神経系に疾患のある運動器不安定症患者の治療に用いられている。

  一方、日本では現在、医療機器として認定されておらず、「HAL福祉用」として展開。ただし14年12月に「希少疾病用医療機器」の指定は受けており、今後の薬事承認への期待が高まっている。日本でも医療機器として認定されれば、普及が加速すると期待されている。

  さらにサイバーダインでは14年9月に腰タイプの「HAL介護支援用」および「HAL作業支援用」を開発。腰タイプは介護や重量物を運搬する作業の際に腰部にかかる負荷を軽減し、健常者が腰痛を引き起こすリスクを低減している。このHAL介護支援用およびHAL作業支援用については、オムロンと事業提携し、オムロンが販売促進および保守サービスを行う。

HALの技術を応用し 熟練者の技能を伝承

  サイバーダインとオムロンは、HAL腰タイプの事業提携だけでなく、包括的なロボット事業の基本合意書を締結した。…

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