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NECのパーソナルロボット「PaPeRo」人とロボットのコミュニケーションを追求
コミュニケーションロボットの開発で長年にわたるノウハウを蓄積しているのがNECだ。同社のコミュニケーションロボット「PaPeRo(パぺロ)」は1999年に最初のプロトタイプが完成。2005年の愛知万博ではチャイルドケアロボットとして注目を集めた。現在も進化を続けており、事業化に向けた取り組みを加速している。
早期にコンセプトを提示し、着実に開発を重ねる
NECは、「コミュニケーションツールとして、パソコンや携帯電話の次のデバイスは何か」という観点から、1997年にロボットの開発プロジェクトをスタートさせた。NECのパーソナルロボット「PaPeRo(パぺロ)」は、音声認識や顔認識、音声合成機能を有し、人の顔を見分けて、話し掛けたり、ほかの人から預かったメッセージを伝えたりする。また、ホームネットワークのプラットフォームとして、住居内の家電の制御も行う。
PaPeRoの本体は腕がない形状で、底面の車輪で走行。首の動きと音声、顔の表情で、意思を伝える。NECがこだわっているのは、フェーストゥフェースのコミュニケーションでは当たり前のことだが、人のほうを向くこと。
NEC ソリューションプラットフォーム統括本部マネージャーの石黒新氏によると、「コミュニケーションを取る時に身振り手振りが必要なところはありますが、身振りがなくてもきちんと人のほうを向くことで相手にメッセージが伝わるのではないかと解釈しています」という。
99年に最初の「R100」を発表。2001年に発表した「PaPeRo 2001」で、現在につながるコンセプトをある程度実現した。ただし、ロボットを作ることと動かすことでは別の問題がある。実際の動作環境を考えると、例えば家の中ではノイズが多かったり、移動に際しては段差があったりする。NECでは、以降もずっと研究開発を続けてきた。
この間の成果として、03年発表の「PaPeRo 2003」は高い会話能力で、吉本興業のお笑い芸人・ぜんじろう氏と漫才を披露。ある程度作り込まれたコンテンツだったが、エンターテイメントの可能性を示した。また、05年には子どもとのコミュニケーション機能を強化した「チャイルドケアロボットPaPeRo」を愛知万博に出展し、好評を博した。06年には世界初のベビーシッターロボットとしてギネス記録に認定された。
こうした開発成果を元に、事業化検討のフェーズに移行。…09年からテストマーケティングとして「PaPeRo R500」のレンタルを開始した。
テストマーケティングでは、福祉施設での認知症者の自立支援に導入。PaPeRoが認知症者に声掛けをすることで、患者のスケジュールに合わせた外出準備や服薬の自立支援を実証している。また、住宅向けホームネットワーク端末としての活用や、クラウドと連携した情報提供サービスを開発。さらにスマートデバイスと連携した見守りシステムや、PaPeRoを遠隔操作の端末とする代理ロボットの取り組みも進めている。
人と一緒に生活し「そこにいるだけで良い」存在へ
13年11月には、テストマーケティングの成果を受ける形で、小型で据え置き型の「PaPeRo Petit(パペロ プティ)」を発表した。R500のテストマーケティングでは、台の上に置いて使うニーズが多かったことや、毎日声掛けをする高齢のユーザーからは「PaPeRoがそこにいてくれるだけで良い」という声も挙がっていた。さらに、動き回ることで安全面の懸念があった。このため、Petitでは移動機能を排し、コミュニケーションに特化させている。
石黒氏は次のように語る。
「新しいコミュニケーションツールとして、ロボットがスマートフォンやタブレットと違うことは、空間の共有です。PaPeRoの実証実験をしていると、一緒に暮らしている感覚になってきます。そこにロボットの意義を感じます」
人とロボットが一緒に暮らす上で重要なのは、あまりうるさくさせないことだという。
「人は意外と周囲を気にしながら、うるさくないように生活していて、自分勝手には動いていません。ですから、うるさくないことをロボットで実現させたい。そのためには、人がどこにいるのか、そこで動いていいのかを検出する必要があります。このため、Petitには高機能な検出センサを用いて、人の認識に特化しています」
さらにPetit発表と同時にパートナープログラム制度を導入。ビジネスおよびアプリケーションのパートナーと共同で、Petitをプラットフォームとしてクラウドを活用したサービスの開発を進めている。具体例としては、見守りサービスや生活支援サービス、SNSとの連携サービスの開発を進めており、実証実験を行っている。
パートナープログラムを通じて、パートナーとのWinWinの関係にめどが立った時点で事業化に踏み切る。2年後にはある程度のビジネスモデルを実現させたいという。
(文=本誌/村田晋一郎 写真=佐々木 伸)