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高速シリアル・インタフェース測定の必須スキルを身に着ける (17) 測定箇所ごとに仕様が規定されているトランスミッタ測定

高速シリアル・インタフェース測定の必須スキルを身に着ける (17) 測定箇所ごとに仕様が規定されているトランスミッタ測定 トランスミッタ測定の準備

 トランスミッタ、あるいはディスプレイ系インタフェースではソース機器に該当します。トランスミッタ測定を行う場合、下記について考慮する必要があります。

オシロスコープ:周波数帯域(前回説明)測定点およびテスト・フィクスチャプローブ/ケーブルテスト・モード:テスト・パターンの発生方法信号規格が規定している点で測定する

 本連載第8回「シリアル・インタフェースの物理層を形成する3大要素 – チャンネル(1)」でも説明したように、伝送路では高周波損失の影響を受け、送信端から離れた箇所ほどその影響は大きく現れます。そのため、測定箇所ごとに仕様が規定されています。例として取り上げるEthernet(IEEE803.2)では、送信端から受信端に向かってTP1、TP2、TP3、TP4と仕様が設けられています(図7-1)。この表現はUSB2.0やDisplayPortなど他の規格でも利用されています。仕様ごとに示している位置・数字が変わることもあります。

 図7-1 高速シリアル・インタフェースのリンクと規定箇所(測定点)

 次の例としてPCI Expressを見てみましょう。PCI Expressは、この表現は使用していませんが、PCおよびアドイン・カードというフォーム・ファクタで見た場合、トランスミッタ、カード・スロット、アドイン・カード・エッジ・コネクタおよびレシーバ端で仕様が規定され、それぞれTP1、TP2、TP3およびTP4に相当します(図7-2)。

 図7-2 PCI Expressの仕様箇所

規格認証や照合する場合、トランスミッタからの信号をオシロスコープ入力に接続して50Ω終端で測定する

 図7-2は、あたかも伝送路途中の信号を観測するように見えますが、実際のチップ入力は、終端されていても入力容量を持つために周波数によりインピーダンスが変動します。その結果、信号振幅も変わり、その変動はチップによって異なり仕様が規定できません。そのため、実際はレシーバが接続された環境ではなく、各々の箇所で回路を切り、終端抵抗だけでの仕様になっている点に注意する必要があります(図7-3)。入力容量に対しては、規格ではレシーバの最大容量を定義したり、伝送路との不整合をリターン・ロスで仕様したりしています。

 図7-3 PCI Expressでの仕様の実際の考え方

 実際の測定は、トランスミッタからの信号を直接オシロスコープ入力に接続して50Ωで終端して測定します。具体的には、テスト・フィクスチャ、あるいは評価基板とケーブルでオシロスコープに接続します(図7-4)。

 図7-4 トランスミッタ/ソースの評価方法

参考

 最近ではチャンネル特性、イコライザを適用する規格も増えてきました。前者は基準となる伝送路を通過させた結果の測定で、後者は基準となるイコライザで補正した結果での評価となります。前者はリファレンス・チャンネルやCIC(Compliance Interconnect Channel)と呼ばれる疑似的なハードウェアの基板を使用したり、ケーブル・エミュレータを使用したりします。また後者ともどもハードウェアではなく、ソフトウェア上のフィルタで実現したりします。これらについてはまた別途ご説明します。

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