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仕事復帰、夫とどう協力

 仕事復帰、夫とどう協力

 

一見平等「落とし穴」も

 

  • 花王の復職セミナーでは、女性社員の夫たちが妻の復職に向けて何ができるかを話し合った(東京都中央区で)
  •   子どもの保育所入所が決まり、4月から仕事復帰という人も多いだろう。

      仕事を軌道に乗せるには、家事や育児で夫の協力が不可欠。どう分担するか、復帰前に十分話し合っておきたい。

     

    ロボ掃除機で口論

     

      「家事と育児がどれだけ大変か、夫は分かっていない」。IT企業社員の女性(33)は、今春の仕事復帰を前に不安を感じている。育児休暇中、家事と育児は女性が全て行ったからだ。

      別の会社に勤める夫は「協力はする」と言うだけで、何もしない。家事の負担軽減にとロボット掃除機を買おうとしたら、夫が「本当に必要なのか」とケンカになった。「この調子だと、保育園の送迎も全て私がやることになりそう。ちゃんと仕事ができるか……」。女性はため息をつく。

      共働き世帯でも、家事や育児の負担は妻に偏っているのが実態だ。国立社会保障・人口問題研究所の2013年の全国家庭動向調査では、常勤雇用されている妻の3分の2が、家事の80%以上を担っていた。結局、多くの妻が短時間勤務などで仕事を制限してしまう。

      育休後コンサルタントの山口理栄(りえ)さんは「夫と話し合わないまま、家事や育児を引き受けないで」とくぎを刺す。短時間勤務になると給料やボーナスが減る。長時間労働が評価されがちな職場なら、しっかり働いても評価は下がる可能性がある。「夫婦でキャリアに差が出かねない点を互いに納得しているか」と山口さんは問いかける。

      夫婦で協力すると決めたら、復帰後に慌てないよう、今から夫に育児の時間を取ってもらおう。また、夫の助けが必要な時は、察してくれるのを待つのではなく、言葉ではっきり伝える。

     

    迎え専門 残業不可

     

      家事や育児の分担の仕方でも注意すべき点がある。例えば保育所の送り迎え。「朝の送りは夫、夕方の迎えは妻」という分担は一見、平等そうだが、「落とし穴がある」と山口さん。迎え担当は残業できないし、子どもの夕食、入浴、寝かしつけまで行うことになり、負担が大きい。「完全な平等は無理でも、週1回は迎えを夫に任せ、たまった仕事を片づけたり、自分を磨いたりする時間を持って」と助言する。

      家事については、便利な家電やサービスを利用する手もある。「できないからと自分を責めなくていい。夫婦で納得できる方法を探ってください」

     

    夫同伴のセミナー

     

      女性社員がうまく仕事復帰するため、夫に意識改革を促す企業も出てきた。

      花王(東京)が1、2月に開いた復職セミナー。参加した女性社員80人の半数が夫を同伴した。夫の多くは他社勤務だ。「子育ては夫婦で」という意識をつけるため、5年前から配偶者連れでの参加を勧める。

      セミナーでは、「食事を作る」「洗濯物を畳む」など家事や育児が記されたシートに、夫がどれほど関わっているかを記入。これを見て、妻の負担の大きさを認識するという仕掛けだ。花王社員の妻と参加した証券会社の男性(31)は、「もっと家庭で過ごす時間を作らなければ」と反省する。

      大日本印刷(東京)も同様のセミナーを開催。育休中の社員だけでなく、子どもを望む社員や3歳以下の子を持つ社員も対象者としている。2月下旬のセミナーでは、参加した男女70人の大半が夫婦ペアだった。

      NPO法人ファザーリング・ジャパン理事の塚越学さんは、セミナーの意義について「親の介護などで時間に制約のある社員も増えており、多様な働き方に対応できる管理能力が今後さらに必要となる。育児を機に働き方を見直すことは、きっと役に立つ」と話す。

      職場復帰する妻を持つ夫はどうすればいいか。「得意不得意はあってもいいので、できない家事は今のうちになくしておこう」と塚越さんは助言する。妻の復帰後は、家事で夫のサポートが必要になるからだ。

      また、夫婦が互いの仕事のスケジュールを共有すると、分担がうまくいく。「各自の忙しい時とそうでない時が明確になり、どちらがやるかでもめなくて済む」と塚越さん。スケジュール帳に自分の仕事と家族の予定を両方書き込むと忘れにくい。(宮木優美)

    仕事復帰で夫婦が意識すべきこと

    ・家事は完璧でなくてもいい
     ・できない時は、やらなくてもいい方法を探る
     ・長時間労働を見直す
     ・時間が許す限り、子どもに愛情を注ぐ
     ・助けが必要な時は、はっきり言葉に出す
     ・お互いのやり方を尊重し、やってくれたことに感謝する
     ・家族のスケジュールを共有する
     (山口さん、塚越さんの話を基に作成)

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