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<リベリア・内戦の子供達>モモ ── 高橋邦典フォト・ジャーナル

 <リベリア・内戦の子供達>モモ ── 高橋邦典フォト・ジャーナル

 少年兵との出会い

 2003年7月 Copyright (C) Kuni Takahashi. All Rights Reserved.

  司令官が出撃の合図をだすと、政府側の民兵たちが次々と銃を構えて橋を渡りだした。ヒュン、ヒュンと、風を切る音をたてながら、機関銃の弾が頭上をかすめていく。そんな混沌のなか、だぶだぶの迷彩色のジャケットを身にまとい、銃を振りかざしながら一人の少年が歩いてきた。強がっているのか、他の兵たちのように身を伏せるでもなく、背筋をピンとのばしたままこちらに向かってくる。僕はカメラを構えて、彼に焦点をあわせた。その時だった。
 
  「写真をとるな!」
 
  ファインダーに映ったこの少年が、撃つぞといわんばかりのえらい剣幕でどなりだした。「少年兵」の存在は国際社会から非難を浴びていたから、彼も自分が戦っている写真を撮られるのを嫌がったのだろう。僕は素早く一枚だけシャッターをきって、顔から離したカメラを頭上に持ち上げた。
 これが13歳の少年兵、モモとの出会いだった。

重い過去

 2005年3月 Copyright (C) Kuni Takahashi. All Rights Reserved.

  内戦が終わって再会したモモは、工事現場での人夫作業やどぶさらいの仕事まで、一日数百円にしかならない日雇い仕事をしながら食いつないでいた。仕事にあぶれた日は、元兵士たちの仲間と何をするでもなく街をぶらつく。タバコとマリワナの煙がたちこめる、海沿いの掘建小屋のなかでビールをラッパ飲みする彼の姿は、どこかなげやりにみえた。
 
  1999年、反政府兵たちが決起し、内戦が始まった。リベリア北部のロファ州の農家に7番目の男子として生を受けたモモは、政府側の民兵だった気の荒い兄のサーに、こづかれながら無理やり部隊にいれられた。その後内戦終結までの4年にわたって、モモはただ戦いに明け暮れるようになったのだ。

 2006年12月 Copyright (C) Kuni Takahashi. All Rights Reserved.

  「捕まえた敵を二人殺したことがある…」
 
  ある日モモは僕に、こんなことを言った。
 
  「司令官の命令だったんだ。捕虜の身体に向かってひたすらにマシンガンを撃ち続けた。弾倉が空になるまで撃ち終わって、身体の力が抜けてしまったよ。 そのあと司令官が酒をくれたんだ。それで気分は持ち直した」
 
  人を殺したことを悔やむ様子もなく、逆に自慢げにふるまうわけでもない。モモはぼくと眼を合わせず、暑さとひどい湿気から、うつむいたその額からは玉のような汗が噴き出していた。

徒労だった戦い

 2013年3月 Copyright (C) Kuni Takahashi. All Rights Reserved.

  2013年3月、4年ぶりにリベリアに戻った僕は、23歳になったモモと再会した。一回り大きくなった体の逞しさは増していたが、生活は相変わらずのその日暮らしだ。五男のジェームスが経営する飲み屋に寝泊まりしながら、モモは夜間駐車場で車の誘導の仕事をしていた。毎晩10時間以上働きながら、月にもらえるのはたったの50ドル(約5000円)。結局、しばらく続けたこの仕事も、僕がモンロビアに滞在中に喧嘩してやめる羽目になってしまった。
 
  モモはいつもなにかに怒り、そして焦っているようだった。
 
  彼には、物事について深く考えたり、他人との人間関係を築く能力が欠けているように思えた。普通であれば、学校で友人達と遊んだり喧嘩をしたり、家庭で両親や兄弟達と接していくうちに、人との付き合いかたというものを自然に学んでいくものだ。 内戦はモモから、そんなかけがえのない成長の機会を奪ってしまったのだろう。

 2013年3月 Copyright (C) Kuni Takahashi. All Rights Reserved.

  「内戦が終わったとき将来に何を期待したか、憶えてるかい?」僕は尋ねた。
 
  「もうずいぶん昔に感じるよ。だけど、なんとかいい生活ができるだろうとは思ってた。政府はおれたちが学校へ行ったり、技能訓練して就労する手伝いをしてくれるべきなのに。だけどそんな助けは全く無しさ。この10年間ちゃんと学校にいけてれば、もう高校も卒業してたはずだ」
 
  喋りながら興奮してきた彼は、声を荒げ、怒りの言葉を吐き捨てた。
 
  「苦労して戦って、兄さん達も失った。みんな国のためさ。それなのに、国はなんにもしてくれなかった。すべて徒労さ!戦争がおれたちを腐らせちまったんだ」
 
 —————-
 高橋邦典 フォトジャーナリスト
 宮城県仙台市生まれ。1990年に渡米。米新聞社でフォトグラファーとして勤務後、2009年よりフリーランスとしてインドに拠点を移す。アフガニスタン、イラク、リベリア、リビアなどの紛争地を取材。著書に「ぼくの見た戦争_2003年イラク」、「『あの日』のこと」(いずれもポプラ社)、「フレームズ・オブ・ライフ」(長崎出版)などがある。ワールド・プレス・フォト、POYiをはじめとして、受賞多数。
 
 Copyright (C) Kuni Takahashi. All Rights Reserved.

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