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ベンチャーが経営崩壊危機?大株主SBIと経営陣が全面戦争 株価暴落で株主大損
マザーズ(外国部)に上場しているアキュセラ・インクの経営権争いがヒートアップしている。現経営陣と大株主のSBIホールディングス(以下、SBIHD)が、臨時株主総会開催をめぐって裁判所の判断を仰ぎ、とりあえず今年5月1日に開催されることになった。
アキュセラ・インクは、失明の恐れがある加齢黄斑変性という病気の治療薬を開発するベンチャー企業だ。米国のシアトルに本拠を構え、医学博士でもある窪田良氏が創業した。加齢黄斑変性に関しては、理化学研究所などがiPS細胞を使う手法の治療を研究しているのに対し、アキュセラは飲むタイプの治療薬開発を目指している。窪田氏は現在ファウンダー(創業者)兼会長の役職にある。
事の発端は昨年12月。アキュセラは当時会長兼CEO(最高経営責任者)だった窪田氏を、今年1月1日付でファウンダー兼会長とし、COO(最高執行責任者)であるブライアン・オカラガン氏を社長兼CEOに任命する人事を発表した。理由は「機動的な経営判断と事業領域の拡大、企業価値の増加を推進すること」だという。窪田氏については、基盤技術の開発や日本におけるIR活動のサポートなどを行うとした。
これに待ったをかけたのがSBIHDだ。2月3日にアキュセラ側が発表した「株主による臨時株主総会開催の要請に関するお知らせ」によると、SBIHDが窪田氏を除く4人の取締役を解任し、後任としてSBIHD代表取締役執行役員CEOの北尾吉孝氏ほか4名を取締役に選任するための臨時株主総会の開催を要請した。同書面には、窪田氏が株主総会での投票に合意したこと、SBIHDと窪田氏の保有株は合計で発行済株式の50.28%を占めていることが記載されているという。
3月2日にはSBIHDと窪田氏の連名で米ワシントン州サーストン群地方裁判所に、アキュセラが臨時株主総会を開催するよう命令することを求める申し立てを行った。SBIHD側では、株主提案が成立し取締役が入れ替わった場合には、窪田氏をCEOに任命することが明確になっているという。これに対しアキュセラ側は、3月4日のリリースで「申し立ては法的に無効」「ブライアン氏の指導で従業員および事業プログラムは正しい軌道に乗り、前進していることは明白」などと主張しつつ、「窪田氏の指導力は乏しく、(提携先の)大塚製薬との関係も悪化した」と指摘している。
●株価暴落、市場の信認低下は不可避
サーストン地裁は5月1日までに臨時株主総会を開催するように命じ、アキュセラは命令に従い、5月1日に臨時株主総会を実施すると発表。なお、定時株主総会は6月8日に開催予定としている。
たまったものではないのは、同社の将来性に投資した、ほかの株主たちである。アキュセラの株価は2014年2月の上場直後に2460円の高値を付けたが、その後520円まで暴落。市場の期待に応えていない。そこに、今回の“お家騒動”が持ち上がった。市場の信認低下は確実で、どう転んでも経営の混乱が避けられそうにない。傷を癒して、本業に集中できるまでには時間がかかるだろう。
それにしても、東証外国部のバイオベンチャーは投資家の期待をしばしば裏切る。米カリフォルニア州に本拠を置き、06年にマザーズ市場の外国部に上場したメディシノバは、気管支喘息急性発作治療薬や多発性硬化症の治療薬の将来性をうたいながら、上場から9年が経過しても、いまだに赤字をたれ流している。現在では、会社側はアナリストなどに、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病の治療薬の有望性を説いてまわっているという。06年1月に2100円を付けていた株価は現在400円前後。いつまでたっても黒字化しない同社に対する投資家の視線は厳しい。
東証は外国企業の誘致に躍起になっているが、投資する人には見せかけの優良企業を見抜く目が求められている。
(文=編集部)