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人事部が語った楽天「英語公用語化」の舞台裏
■冗談だと思った「英語公用語」発言
【三宅義和・イーオン社長】この対談の1回目は、インターネット・サービス大手「楽天」のグローバル人事部の葛城崇さんに、登場していただきます。葛城さんは、楽天の「英語公用語化」を推進するプロジェクトリーダーとして、活躍されました。英語を「楽天グループの公用語」とする「英語公用語化」の方針は、大きな衝撃を社会に与えました。とにかく、「数千人の社員が社員同士で使う言葉を全部英語にする」という壮大な試みは、日本企業において、前例のないものです。その「英語公用語化」は、いつごろ決まったものなのでしょうか。
【葛城崇・楽天グローバル人事部副部長】「英語公用語化」の話が出たのは、2010年の1月だったと思います。楽天の新年会で、(会長兼社長の)三木谷(浩史)が、「今年はグローバル元年だ」「英語を公用語にする」と言ったのです。ただ、新年会のお酒の入った席だったものですから、「冗談半分なんだな」というふうに受け止めました。ところが、2月、3月を経て、いくつかの会議が英語で行なわれるようになったのです。さらに、5月1日からプロジェクトを立ち上げて、社内公用語を英語にするという発表が、全社員の前でありました。
【三宅】そのような決断をなされた背景や理由は、どのようなものだったのでしょうか。
【葛城】私たちは、「世界一のインターネット・サービス企業になる」という目標を掲げています。その目標達成のためには「英語公用語化」が不可欠だと考えたのです。その理由は、大きく3つあります。
1つ目は、優秀な人材を獲得できるからです。世界には、日本語はできなくとも優秀な人がたくさんいます。世界一になるために、多様で優秀な人材は欠かせないと考えます。2つ目は、グローバル規模での情報共有と意思疎通を迅速にできるという点です。ビジネスをグローバルに展開する上で、海外のグループ社員やパートナーと一緒に仕事をしていくことは必然となります。英語は一体感を構築するための不可欠なコミュニケーション手段となるでしょう。また、こちらが日本語で話したことを英語に通訳するプロセスで発生するコミュニケーションロスや時間ロスを解消できます。3つ目は、そもそもインターネットビジネスの最新情報は英語で発信されるからです。翻訳されるのを待っているようでは、グローバル市場で勝てない。私どもも、日本語ではなく、英語で世界に発信していく必要があると考えます。…