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イヌワシ27羽 DNAで個体識別/京大院生と岩手県研究員協力
国の天然記念物で絶滅危惧種に指定されているニホンイヌワシについて、京都大大学院生の佐藤悠さん(24)らが遺伝子検査で1羽ずつ見分けて調べる「個体識別」に成功した。希少で発見が難しい鳥だが、断崖絶壁などにある巣から羽根や卵の殻を回収し、国内生息数の5%に当たる数のDNAサンプルを集めた。今回の成功で絶滅回避の可能性も出てきたといい、佐藤さんは「多くの人の協力で集まった貴重なサンプルを生かせてうれしい」と話している。(今津博文)
佐藤さんは理学研究科所属。検査は岩手県環境保健研究センターの前田琢・主査専門研究員(50)の協力を得て行った。
ニホンイヌワシは日本と朝鮮半島に生息し、翼を広げた長さは1・75~2メートル、体重3~5キロ。国内では東北地方を中心に崖や樹上に営巣し、ノウサギやヘビ、ときにはキツネやタヌキも捕食する。
繁殖率は1980年頃までは60%近かったが、近年20%前後になり、国内の生息数は推定約500羽まで減少。数が減ると、病気にかかりやすいなどの悪影響をもたらす近親交配が進むことも懸念されている。
これを避けるには血縁関係など1羽1羽の特徴を詳しく調べる個体識別が有用だが、野生のイヌワシは接近が難しいという。今回、佐藤さんは、秋田市の動物園で飼育中の4羽のDNA配列を解読。個体識別の目印となるポイントを11か所見つけ、その部分の配列の違いや組み合わせで血縁関係を推定する方法を用いた。
遺伝子検査の対象となる資料集めは前田さんが担当。同県の山中で営巣地を見つけては、地元山岳会に依頼して高さ30~40メートルの崖の上から巣の場所まで降りてもらうなどして卵の殻、羽根、糞などを採集した。作業は繁殖期を終えて巣が空になる7~10月に限られるため、猛暑との戦いでもあった。
これらの資料から佐藤さんが27羽分のDNAを検出。解析の結果、家族とみられるイヌワシが同県全域で見つかり、広範囲に散らばって子孫を残そうとしているらしいことがわかった。
研究を指導した京都大野生動物研究センターの村山美穂教授は「近親交配が進むと一気に絶滅に向かうのではと心配したが、餌場を十分確保するなどの対策を打ち出せば、まだまだ守れるのではないか。全国規模で調査を進め、効果的な保護方法を考えたい」と話す。