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幻の魚スマ 初の越冬

 幻の魚スマ 初の越冬

 ◇県水産試験場で成功 量産めど

  • 冬場を乗り越え体長35センチに成長したスマ(県水産試験場提供)
  •   新しい養殖魚として注目される南方系の小型マグロ類・スマ(ヤイトガツオ)の稚魚生産に取り組む県水産試験場(串本町)は、昨年8月に人工孵化(ふか)したスマが初めて越冬に成功したと発表した。

      スマは太平洋岸に分布する回遊魚。マグロに似た味で高値で取引されるが、漁獲量が少なく市場にはほとんど出回らないため「幻の魚」とも呼ばれる。

      同試験場は、2013年度から東京海洋大と共同研究を進め、受精卵を孵化させて育てる実験をスタート。13年度は稚魚の生存率が7・5%にとどまったが、14年度は飼育環境の改良などで生存率を11・1%に伸ばした。ただ、南方系の魚のため、海上のいけすに移す「沖出し」後、冬場を乗り切れるかが課題で、13年度は約1000匹が全滅した。

      このため、餌を配合飼料からイカナゴの生き餌に替えたところ、食いつきが良くなり体力が向上。昨年10月に沖出しした670匹のうち450匹が冬を乗り越えた。20センチだった体長は今年3月末で35センチに、重さも100グラムから500グラムに成長した。

      順調なら、12月にも出荷サイズ(体長45センチ、重さ1・5キロ)に成長する見込み。

      白石智孝・副主査研究員は「これである程度、量産のメドが立った。今後は、8月だった孵化時期を4~5月に前倒しして、さらに耐性を備えさせたい」と話している。

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